#今週の一枚 黒髪山 | 旧・スネコタンパコの「夏炉冬扇」物語

旧・スネコタンパコの「夏炉冬扇」物語

スネコタンパコの、見たり、聞いたり、読んだりした、無用のお話

 

 

 上の写真は、戦場ヶ原から日光連山を撮影したもので、右から、男体山、大真名子山、小真名子山。

 

 それでは、タイトルの黒髪山はどこにあるかというと、実は、男体山の別名を黒髪山という。この角度からだと、なぜ黒髪山と呼ばれたか、その理由がよく分かる。

 男体山頂部を、男体山を枕に仰向けに寝ている女性の横顔、と思えば、そのピークが鼻で、画面左側のなだらかな山裾に沿って、豊かな黒髪がたおやかに枝垂れているように見える。

 『日本歴史地名大系 栃木県の地名』の男体山の項に、《黒髪山は「五代集歌枕」「八雲御抄」に歌枕としてあげられ、「続古今集」に人丸の「むばたまのくろかみやまをあさこえてこのしたつゆにぬれにけるかな」、「散木奇歌集」に「むば玉のくろかみ山に雪ふればなも埋もるゝものにぞ有りける」などの歌がある。》とあるが、この歌枕に載っている黒髪山を日光男体山に充てるのはいささか無理があるのではなかろうか。尤も、ほとんどの歌人たちは、歌枕の地を訪れることはなく、想像で歌を詠んでいたわけだから、完全に否定するわけにもいかないが。

 ちなみに、群馬県の榛名山一帯に散見される黒髪山神社の黒髪はクラオカミ、つまり闇龗神のことで、男体山の黒髪山とは、全く関係はない。
 

 

 

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