メーカーに長くいると品質や特許を追求しがちになり、何を作って売るかに特化する傾向にあると思います。「いい物なら売れる」という職人気質を美学とし、それは料理人のプライドにも似ています。しかし、川上のメーカーがいくら自分にしかない技術力と品質をうたってみても、川下のエンドユーザーにたどり着く間に、どこかで何らかの代替えはきくものなのです。もちろん特許の関係などで同じものを代替えできない場合もありますが、必ず誰かがその製品が無くても困らない方法を発明します。その誰かというのが商社という存在です。
商社の活動と転売屋を混同するような意見もたまに目にしますが、商社は単に仕入れた商品に利益を乗せて売っているだけではありません。もちろんそういう商社もあるかもですが、商社は会社によってカラーが全く異なり、創業者の方針や伝統によっても千差万別です。
価格勝負でとにかく競合先排除に張り切る商社、いろんなメーカーをコラボして付加価値を生み出す商社、設計から行う開発型商社など、いろいろなスタイルがありますが、結局私がたどり着いた方針は、客先、仕入先、従業員の全方位から見て「リーズナブル」、すなわち合理的で理性的でお値打ちであることです。
そして経営者自身が合理的で理性的でないと意味がありません。合理的な経営、もしくは営業とは、無駄を最大限排除することです。仕事が何もなく、誰にも相手にしてもらえない時期に、誰かに「仕事をまわしてやるよ」と言われたとします。その時の対応で運命は決まります。
本当にお金や仕事に困っている時に横から手を差し伸べてくる人間は、本当の友人か最大の敵です。自分にとって何が合理的で、何が無駄なのかをよく判断しなければなりません。そして困窮していても常に理性的でいることです。会社を立ち上げて困窮した場合、すぐに必要なのは当面の仕事よりも運転資金です。まずは胡散臭い仕事の話に乗っかるよりも金融機関を頼りましょう。
そして、具体的に「どのように売るか」が会社組織として重要となってきます。
つづく
