どんぐり劇場『誰かの処方箋』@シアター風姿花伝


HPによるとこちらはオリジナルミュージカルをやる裏方だけの集団だそうで、ワイヤレスマイク等道具の揃え方なんか本格的。弦(ヴァイオリンかヴィオラか)と鍵盤とパーカッションのミニマルながら生バンドが全編音楽付けてたし(チラシから察するにバンドはメンバーらしい)。生歌、生バンド、最高じゃないですか(^^)/


演者は都度集めるとのことなので、歌えて踊れて台詞が云えて、というのが最低限なのですが、まぁ皆さん達者。ダブル&トリプルキャスト混成で21名だから、世の中居る所には居るもんです。

そんなややこしい現場にも関わらず、皆さんとっても楽しそうに演ってられたのは好感が持てました。逆に云えばこれくらいの規模でミュージカルなんてまず出来ないしやらないから、スキルのある方々にほそれだけで楽しい公演だったんでしょうね(^^)


残念ながら20日千秋楽、お疲れ様でした………………と〆てあげたいのは山々なんですが。



(注:この先は批判指摘的な感想が多めになると思います)


(注:当事者関係者には耳の痛い内容になるかも知れません)


(注:気分損なう事があるやも知れません)


(注:ネタバレも多分します)


(注:それでもこの先読みますか?)


(注:警告しましたからね)



好きでやってて、それを楽しみに観てるお客さんが居る、その相互の楽しみに敢えて一石投じるのは野暮以外のナニモノでも無いことくらい重々承知なんだけど、やはりおカネ払って観るひとと、時間割いて参加している俳優陣が居るのでね。


・開演5分で思ったのは「もっと広い舞台でやるべきなんじゃねーの?」立派なマイクシステムもだけど、あの大きな芝居となかなかに強烈なメイク(あれじゃ疲労困憊の薬屋というよりマッドサイエンティストかアダムス・ファミリーだよ(>_<))もっと遠目で観られたら違ったんじゃない?

場面を変える為にリバーシブルのセットを作ってクルクルしてた。その発想はお見事だけど、どうしたって場転は増えるから観る方にはツラい。例えばシェイクスピアの雰囲気出すなら上手側を薬屋、下手側を街角にしちゃっで中央を臨機応変で使う、みたいな手を使えば色々スッキリしたのではなかろうか。風姿花伝は良いハコだと思うけど、演目の性質考えたらブディストホールとか三鷹芸能劇場くらいにワイドな舞台とストロークのある客席で演る内容だったんでないかと思えてなりません。


・客席にグレードを作るのは団体の方針だから構わないけど、あの規模のキャパで正直意味があったのかは疑問。私はこーゆー場合一番下のグレードで観るんだけど、観え方聴こえ方に関してならそんなに価格差が付くような物では無い。看過出来なかったのは本日出演のキャスト表が無かったこと。

グレード高い席への特典としてなら豪華なパンフレットでもチェキでも付けてやりゃ良いとは思うが、ダブル&トリプルキャストでお送りしてるならたとえペラ1でもキャスト表は全グレードの席に出すべきだし、でなきゃHPに期間限定でもいいからキャスト表として掲載すべきと思う。お客さんは誰が何役なのか判りづらいし把握しづらい。そして参加してくれてる俳優陣からすれば本番はプロモーションの場なので、お客さんに誰がどの役か判るようにするのは制作サイドの誠意の現れと思うのだが。


・リバーシブルのセットは良い。窓を作りたかったのも判る。だが無垢の材が見えちゃうのはいただけない。別の意味を持っちゃうから。

窓の外に板打ち付けてるのは災害への備えだし、内側に板打ち付けてるとなるとブツが飛び交うような喧嘩もしくはDVの絶えない家か、サイコパスが住んでるのか、もしくは一昔前のラブホになっちゃう^^;


・お話の構成のマズさや内容のセンシティブな部分については果てしなくなるんで触れません。精進なさって下さい。

ただそのせいで盛り下がった客席(自然発生的に湧いてた拍手が枯れたのは、つまりそういうこと)を、私の後ろに座っていたスタッフが挽回しようとして無理に笑い声出しや拍手をしていたのには疑問を持ちました。ひょっとして彼は純粋に楽しんでいただけなのかも知れないけど、スタッフ装束でひとりソレをやられても「こいつ、なんなん?」としか思えないよ。

その彼がカーテンコールのダブルを煽っていたのは実にカッコ悪かった。ダブルをやらないとキャスト紹介が出来ないから、という規定路線だったのでしょうけど、それは観ているお客さんにも参加してくれてる俳優陣にも失礼ですよ。彼が全力で煽ってもお客さんが拍手止めたらどーしてたんだろう。


これは個人の感想なので指摘弁明等々は一切受け付けません(SNSで感想を募るというのはこういう事です)。的外れな部分が有りましたら鼻で笑っていただいて結構です。

俳優陣の頑張りや演技そのもの、生歌生バンドに各所の工夫など、楽しんだ楽しかったという感想もまた確かに持っているんでね。