全く宣伝してませんでしたが、実は舞台に立ってました。


劇団宇宙キャンパス『野原二響ク約束ノ音』@大塚萬劇場。2019年7月の再演で、前回同様ダブルキャスト。私は往時と同じ雲組の上村頼興(主人公相良義陽の外祖父)役でした。

本来なら緊急事態宣言が明けての本番となる予定だったのですが、延長に次ぐ延長で一番厳しい状況下での上演でした。故に軽々に舞台を喧伝するのもはばかられましたし、事実友人知己からも割と厳しい言葉での拒絶もされました(その反応も当然で、致し方ないところではあります)。
稽古時間も厳しかったし、あわや公演中止か!?といったアクシデントにも直面しましたが、とりあえず千穐楽劇場撤収までは大過無く終えることが出来ました(二週間の経過観察期間ではあるのですが)。劇団やスタッフ、参加者個々人の努力もありますが特筆すべきは劇場さんのガイドライン。聞いただけではとてつもなく厳しい条件でしたが、それもこれもこの御時世においても安全に公演を打ち、安全に観劇してもらうという姿勢の現れでした。お陰様で気兼ねなく舞台に立つことが出来た事を、劇場さんへの感謝と共に報告しておきます。


我々雲組は前回台本とほぼ同じ。(そんなに多くはないけれど)加筆修正と独自演出が入って華やかさが増した陽組に比べればやや地味に映ったかも知れませんが、私は作家演出家が出した脚本の文言を変えずに最大限の表現や先方が意図されてないであろう表現を探すのが大好きなので、初演に比べて作品の純度練度が高まった舞台をお届け出来たのでは、と思っております。同じ道を辿りはしましたが、多少なりとも前回より高みに到達出来た……んじゃないかな^^;
前作同様私と同じ役を陽組で演じた小暮典保は男前で芝居もアクションもキレる方。彼が素敵なイケおじで王道の古兵(ふるつわもの)をカッコよく演じてくれてたおかげで、自分が導き出した最適解に自信が持てました。手前味噌ですがダブルキャストのキャラクター分けは頼興が一番出来ていたのでは、と自負してます。
今回もいろんな作品からインスピレーションを頂戴しました。『魔界転生(‘81)』の柳生但馬守、『仕事人大集合』の元締・虎(虎!!)、『プロジェクトA』は誰だ?なんかの偉いひと、etc……どこの何かはナイショです^^;^^;

初演時、男優陣は反対組のアンサンブルを仰せつかっていたので実質運動量の多いシングルキャスト、故に中日過ぎにはそこそこ使い切ってしまって久々に声を枯らした公演でした。前作のDVDに残る私の様子はほぼカッスカスでお恥ずかしい限り。
今回はその辺が解消されて、コンディションを保つ事が出来ました。


※全員集合と頼興率いる球磨防衛槍襖隊。

自慢のアンサンブルチーム【シューティングスター】の面々です。ベテラン、若手、スーパーホープから自称『ちょっと元気な女優さん』までとバラエティ豊か。時には味方時には敵として切られ、果ては普段やらないダンスから私や甲斐親英役柵木良賞の悪ふざけの付き合いと八面六臂の大活躍。
皆さんの献身のおかげで芝居が保たれたのは過言ではない。影の?いえいえ、本公演に於いては立派な主役でした。感謝感謝やで♪

私が一番苦労したのも殺陣でした。芝居経験は長くても本格アクション、特に『ちゃんとした形での刀殺陣』においては素人同然の私(小劇場演劇のアクションはストリートのステゴロみたいのがメインで、侍のような様式の定まった格闘をするキャラクターが出て来るのは極めて稀)。基本的な駄目を延々と受けたなぁ。
でもその甲斐あって、芝居観てくれたお客様やアクションやってる友人なんかから私の殺陣についてお褒めの感想を過分に頂戴しました。嬉しいやら照れくさいやら(/// ^///)


前回が実質シングルキャストだったが故に、今回本作品を初めて客席側から観ることが出来ました。陽組の初日と配信で計2回。以下感想です。

やはり芝居は劇場に足運んで生で観るもんです。目と耳だけじゃなく、波動や圧みたいのを全身で感じならがら客席に座ってるんだなあ、と改めて実感しました。
そして……泣いたねぇ。
まぁうっとこの稽古や本番でも、スタンバイの舞台裏では女子衆の慟哭や幾つかの別離のシーンで普通に泣いてるんだけど(あ、ほかの演者にはナイショですよ(^_-))、客として観るのとでは破壊力が違う。そして号泣と不織布マスクは相性悪いね、垂れたハナもかめないうえにゴミ箱直行でしたわ。
でも不思議ですねぇ、セリフも展開も全部頭に入っているのに毎度同じところで泣かされてしまう。むしろ待ってる自分が居たな^^;

みんな素敵だったのは大前提として、もし誰かひとりを特筆せよと云われたら………島津義弘役石川毅。イケメンでお茶目、彼が作り上げた義弘は時に白く燃え上がるような激熱の漢。
そして殺陣の流麗さに見とれてしまいました。思えば初演は同じ組で、私が「頼興は策謀家だから戦いたくない」と駄々をこねたがせいで義弘の殺陣シーンが無くなったのです。これをやらせなかったんだと思い至り、今になって背筋が凍る思い^^;
今更だけど、つよし君ゴメンやでm(_ _)mm(_ _)m

芝居を配信で観るのは性にあわない、とずっと思っていましたが、今回配信を担当して頂いたチームの公演はほかの配信上演より格段に満足度が高かった。
聞けば『伝説のカメラマン』が携わるライブ配信チームだそうで、画質が良いしスイッチャーも「痒いところに手が届く」センスの良さでした。これは……羨ましい(/_;)

敢えて駄目を指摘をするなら、前髪作った俳優の顔が結構な割合で顔を隠しがちで、特に「今お顔が観たいな!!」ってところでがっつり顔が隠れる場面が散見してたのが残念だったかな。

↑のとおり、陽組公演配信映像はアーカイブされてます。期限があるかどうか聞いていないのですが、とりあえずまだ観られるとの事。
是非ともご覧下さいませ。
 




今回もこのポンコツにお付き合い頂きありがとうございました。負担もプレッシャーも少ない立場で脳天気に「楽しかったね〜(^^)楽しかったね〜(^^)」と抜かしがちな私ですが、この御時世の厳しい状況で上演に漕ぎ着ける為に身を粉にして運動してくれた劇団員、関わって下さったスタッフの皆さん、面倒臭がらず共演してくれた俳優陣、もちろんチームシューティングスター。なにより本作品をご覧になってくれたお客様、御時世下わざわざ劇場まで足を運んで下さったお客様……全ての皆さんに感謝です。
私は俳優のひとりとしてこの世界を創り上げてお届けするだけなのですが、楽しんで頂けたなら嬉しい限り。

池袋演劇祭獲ってあうるすぽっとも良いけれど、どうせなら八代や葦北辺りで招待公演が打てたら良かね〜(切なる願い)。
まずは二週間の経過観察を乗り越えてからですけれども^^;


繰り返しな上に月並みですが、本当に本当にありがとうございました。
またなっ!

雲組 上村頼興役 えんどうたいと