年末は大掃除を行うご家庭が多いと思います。ただ年末直前となると、かなりバタバタすると思いますので、このあたりから少しづつ始めた方がいいでしょう。

年末の大掃除は、普段見落としがちな建物の劣化や不具合を発見する絶好の機会です。また、冬から春にかけて増える強風や、予期せぬ集中豪雨に対する備えをこの時に最終チェックしましょう。

 

 

 

 

大掃除で見つける住まいの劣化と自然災害への備え

 

1. 外回りの点検:雨どい、屋根、外壁

 

家の外周は常に風雨にさらされており、劣化しやすい部分です。特に年末は、雪や強風が建物を直撃する前に点検しておく必要があります。

  • 雨どいの詰まりと破損:

    • トラブル: 秋の落ち葉やゴミが雨どいに詰まると、雨水がスムーズに流れず溢れてしまいます。溢れた水が外壁を伝うと、外壁の劣化やコケ・カビの原因となり、最悪の場合、屋根裏や軒天に水が浸入し雨漏りにつながります。

    • 点検・対策:

      • 梯子など安全な方法で雨どいの中を覗き、詰まりがないか確認します。

      • 詰まりがあれば、ゴム手袋や柄のついたブラシなどで取り除きます。

      • 破損や歪みがないかチェックし、金具が外れていないか確認します。

      • 専門業者に依頼する際は、年末の混雑を避け、早めにスケジュールを確保しましょう。

  • 屋根材・外壁の異常:

    • トラブル: 屋根材(瓦、スレート、金属など)のズレ、ひび割れ、浮き、外壁のクラック(ひび割れ)や塗装の剥がれは、水の浸入経路となります。特に年末の強風で屋根材が飛ばされると、大きな被害につながります。

    • 点検・対策:

      • 地上から双眼鏡などを使って屋根の異変(屋根材の欠けや苔の大量発生)がないか確認します。安全のため、屋根に自分で上るのは避け、必ず専門業者に依頼してください。

      • 外壁に0.3mm以上のひび割れや、触れると白い粉がつくチョーキング現象(塗膜の劣化)がないかチェックします。これらは早めの補修が必要です。

  •  窓サッシの防水チェック:

    • トラブル: サッシ周りのシーリング材(コーキング材)が劣化すると、ひび割れや剥離が発生し、そこから雨水が浸入して雨漏りや内部の建材腐食を引き起こします。

    • 点検・対策: シーリング材の劣化を確認し、自分で補修が難しい場合は専門業者に打ち替えを依頼します。また、窓枠の結露水が床に流れ出ないよう、こまめに拭き取ることも重要です。

 

2. 排水口・排水管の徹底清掃

水回りのトラブルは、使用頻度が高い年末年始に発生しやすいです。大掃除の際に、見えない部分の清掃を徹底することで、詰まりを予防できます。

  •  浴室・洗面所の排水口:

    • トラブル: 髪の毛、石鹸カス、皮脂汚れなどが固まり、排水管を塞いでしまいます。流れが悪くなると、悪臭の原因にもなります。

    • 対策:

      • 排水口の蓋やヘアキャッチャーを取り外し、付着した髪の毛やヌメリを完全に除去します。

      • 市販のパイプクリーナー(水酸化ナトリウムなどのアルカリ性薬剤)を定期的に使用し、見えない奥の汚れを溶かして予防します。

      • ※パイプクリーナーは塩素系と酸性タイプを絶対に混ぜないように注意し、使用方法を守ってください。

  •  キッチンの排水管:

    • トラブル: 調理後の油や、食べ残しの小さな残渣が冷えて固まり、排水管の内側に蓄積して詰まりを引き起こします。

    • 対策:

      • 油汚れは新聞紙や布で拭き取ってから皿を洗う習慣をつけます。

      • 重曹とクエン酸(または酢)を混ぜて排水管に流し、発泡作用で汚れを浮かす自然な掃除方法も有効です。

      • 排水口のバスケットとトラップ(椀型や筒状の部品)を外し、全てブラシで清掃し、悪臭の原因となるヌメリを取り除きます。

 

3. 火災報知器と消化器の確認

冬は暖房器具の使用や換気不足により、火災リスクが高まります。

  •  火災報知器の動作確認:

    • 対策: 住宅用火災報知器のテストボタンまたは引きひもを操作し、正常に警報音が鳴るか確認します。電池式の場合は、電池切れでないか確認しましょう。設置から10年が交換の目安とされています。

  •  消化器の確認:

    • 対策: 消化器を設置している場合、使用期限が切れていないか、圧力計が正常範囲を示しているか、本体に錆や破損がないかを確認します。

 

4. 水害・強風対策の最終チェック

 

年末年始の異常気象に備え、以下の確認を行います。

  • 飛散防止: 強風で飛ばされる可能性がある植木鉢、物干し竿、ゴミ箱などの屋外のものを、安全な場所に収納するか、しっかりと固定します。

  • 雨戸・シャッター: 強風や台風が近づいた際には、すぐに閉められるよう動作確認をしておきます。

  • 非常用品の点検: 災害時のために備蓄している水、食料、懐中電灯、モバイルバッテリー、医薬品などの使用期限残量を確認し、補充しておきます。

 
 

これらのメンテナンスは、住まいの寿命を延ばし、安全な年末年始を過ごすために不可欠です。万が一、点検中に大きな損傷や異常を発見した場合は、速やかに専門業者に相談しましょう。

次回は、「 長期休暇中の火災・漏電リスクと防犯対策(設備面)」についてお伝えいたします。