初犯刑務所からの手紙

初犯刑務所からの手紙

弟からの手紙は刑務所の住所だった。

初めて服役する人達が舞台の初犯刑務所物語。

二度目の窃盗で懲役二年の実刑判決を受けた弟が


初めて刑務所に服役した。


刑務所に落ちていった弟と


塀の外私のノンフィクション小説。

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人間として仕事をしているのは、刑務官も同じ事。彼らからすれば、シャバに住む私がアウトサイダー。

アウトサイダーには機械のように接するが受刑者には喜怒哀楽を表す。
服役中は日常的に仕事をしなければならない。
出所後の社旗復帰の訓練も兼ねているので木工作業、印刷作業などなど一般的に体を使った仕事が多い。その中でもエリートコースは「営繕作業」。修繕や工事などである。
理由は簡単。工場内の作業は機械に張り付いたり、卓上の作業仕事なのでその場を離れるには理由が必要でいちいち先生に許可をもらわないといけない。嫌みや皮肉を言われ、時には罵倒される。 その点、エリートである修繕や工事は比較的自由に移動できる。この小さな小さな自由を勝ち取れるのは刑務官からお気に入りのエリートのみである。
エリート達は刑務官と雑談し世間話をし「さすがうまいねぇ~」なんてよいしょされたりする和やかな雰囲気。その上、昇級も速い。
私も認めるところだが弟は人から気に入られる長所がある。電気工事の経験を認められ、その性格も手伝い幸いなことにいきなり電気工事の仕事を担当した。彼にとっては人生で初のエリートコースだった。



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待合室の狭い世界は異様なほど笑いがない。
待っている我々は当然だが、
面会に行く度に職員達の無機質さはまるで機械と話しているように感じる。
怒っているわけでもない、喜怒哀楽が禁止されているのだろうか?
ただ黙々と仕事、いや作業を進めているようだ。
服役中の者達は望むことなくこの場所に連れてこられた。

ここで働く者達は望んでやってきたのだろうか?
そんな事を考えるほど、退屈な待ち時間はいつものこと。

しかし、受刑者からは先生と呼ばれる刑務官たちも人の子。
待合室の我々の前ではサイボーグ化した彼らが
人間であるのはゲートの中である。


 






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面会も二回目以降は慣れてくるのではあるが
待合室の重苦しい雰囲気だけはたまらなくなる
連れ添いがいる人はボソボソと身内だけで話しているが
知らない人同士が声を掛け合うことなど一度もなかった。
(当然のことだが…)
面会に来た人が悪いことをした訳ではないが
後ろめたい思いを全員が背負っているのだ。
逆に知り合いに合ったりしたらお互い気まずいことだろう。
幸いそんなことはなかったが
もしかすると私の知り合いが
私を見つけ
気づかないふりをして
気づかれないように潜んでいたかもしれない。
そんな事を考えるとたまらなくなる。

面会は三親等以内と決められている。
しかし本人確認は意外にもゆるゆるで
友人や彼女が親族と偽って面会に来る者も多い。
面会には刑務官が立ち会うので話を聞けば分かりそうなものだが
気づかないような粋なはからいかもしれない
ここは初犯刑務所
それほど極悪人は収容されていない。

そして受刑者には、
の大小にかかわらず
等級があり、服役中の態度によってランクアップしていく。
等級については別項で詳しく記すとして
いいことがたくさんあるのだ。
例えば、最初は面会や手紙を出せる回数は月一回、
等級が上がれば、その回数が増えていくシステム。

最初の面会に行くとき事前に刑務所に問い合わせたのだが
「ここで受け付けされるまで面会できるかどうかわかりません」と言われた。
もし、回数を既に使い果たしていたら受付でアウトという理不尽なことになっていた。
合理的が通用しないビジネスライクには縁遠い世界、ここは初犯刑務所なのだ。

 






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