先生とはいつものオープン和カフェに入った。
消防署の裏である。
東京は雪が残り相当寒い日だったが、そこはひざ掛けに電気毛布が置いてあった。
久々に格闘技の話になる。
「最近、タイトルが多すぎて、しかもすぐ挑戦させてくれ、レベルも低くイヤになる」
「俺たちの時代は選手の層もレベルも高く過酷な時代だった」
先生は現状に嘆いていた。
外国などに行くとレベルが低くても、価値を上げるために日本人に一回勝たせるという事も平気でやる。
国際的なイメージを持たせるためだ。
またそれを読み、勝った勝った!とタイトルを持って帰り、そのまま逃げるヤツもいる。
ガチの世界で選手の価値を見るには(プロレスは見る必要はない)、何回防衛しているか?
対戦成績はどうか?
内ノックアウト勝ちはどのくらいあるのか?
ノックアウト負けは?
等を我々は優先に見る。
後はセンスやレベルで分かる。
玄人は最近のタイトルを信用しない。
そしてそんな選手ほど大きく見せる輩が多い。
知らない素人はコロッと騙される、本当に見苦しくイヤになる
弱格闘者技人格だ。
相撲にはそれがない。
本物の選手は多くを語らない。
「オレも対戦成績悪いなあ…」
藤原先生がポツンと言った。
先生の言う対戦とは毎夜の酒の席で、酒に飲まれて暴れた数である。
藤原敏男のキックの対戦成績はバツグンだが、
飲み会の成績は?
知らない人は昼間のうちに聞いておいた方が良い。
そうでないと本当のノックアウトがついてくる。