vol.57 マスボクシング〜暴力━━━☆ジャスミンライス流星群☆ | ジャスミンライス流星群

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タイガーシノハラ オフィシャルブログ

━━━━━━━━━━━━━━ vol.57 2015.11.12 ━━
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 こんにちは。
 ライオンズジムマネージャーで、篠原光のトレーナー兼父親の、シノハラです。

 最近は雲が多い日が続いたがようやく青い空が現れた。
 薄い雲がいろんな形をしているし、ゆっくりだけど動いているのがわかるとつい見つめてしまい、気がつくとおれの呼吸が聞こえる。
 何かに集中している自分の呼吸はよく聞こえるものだ。
 誰かの足音とか鳥の気配とか色づいた木の葉がこすれ合って落ちてくるのを見ながら午後の予定を確認した。
 最近はそれほど忙しくない。
 でも人間たるもの時間が来れば腹が減る。

 腹減った。

 今日の昼めしは、『鰤のアッサリ醤油ラーメン』です。
 麺屋たつみ喜心(埼玉県狭山市)に行く予定になっています。
 この店は曜日ごとメニューが違うし、しかも木曜日は一期一会の特別チャレンジメニューを出しています。
 もちろんすごくうまいです。
 なので、木曜日にはここに行くことが多いです。

http://tabelog.com/saitama/A1106/A110602/11027779/

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■世界タイトルマッチというもの
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 昨夜は後楽園ホールでダブル女子世界戦があった。
 モデルボクサー高野人母美選手がアルゼンチン王者の持つWBO世界スーパーフライ級のタイトルに初挑戦し、ミニフライ級の神田桃子選手が日本人世界王者の池原シーサー久美子のWBOのベルトを獲りにいった。
 CS放送でテレビ中継したのでたっぷり観戦できた。

 高野選手は4ラウンドにぶっ倒されて負けた。
 チャンピオンのベルムデス選手は体が強かった。
 正確に組み立てられた骨格と良質の筋肉が高密度でまとまった素晴らしい肉体だった。

 神田選手も池原チャンピオンの強い体に敗れた。

 強い選手というのは体が勝手に動いているように見える。
 動作を作り出すのに脳が介在していないように見える。
 天からの糸に操られるように何の苦労もなく目的を遂げているように見える。

 運動能力とか考える力というのも大事だが、相手に多少抵抗されてもびくともしないような強い体を持つことは最重要だと思う。

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 さて、最近のボクシングは世界戦でもダブルとかトリプルとか当たり前になってきた。
 一晩で二つも三つも世界タイトルマッチをやるということだ。
 なにしろ団体が多いから。
 WBA、WBC、WBO、IBFなど4団体もある。
 階級もやっぱり多すぎると思う。フライ級系だけでも、ミニフライ級、ノーマルなフライ級、スーパーフライ級の三つもあるし。
 あまり区分が多いのは考えものだ。
 チャンピオン数が増えてしまう。
 珍しく希少価値がなければ人々の興味を集めることはできない。しかもそれは、わかりやすくなくてはならない。
 但し書きがありすぎると、一般の人はボクシングの世界チャンピオンに興味がなくなってしまうだろう。

 世界戦と名のついたものの中でも、たくさんやっていれば試合内容のレベルもそれぞれ違ってくる。
 ボクシングの世界チャンピオンを世の中の人みんなが知っている時代ではなくなってしまった。
 ただの世界チャンピオンではもうだめで、本物の世界チャンピオンだけが人気が出るようになった。

 女子ボクシングもほんの二三年前はすごく珍しかった。
 女子がやるというだけで、四回戦の試合でも会場の雰囲気に緊張感があった。
 もちろん下手過ぎて見ていられない試合も多かったが、まあ珍しいものが見れたからよかったという感じで観客は満足していたようだった。
 今もまだ女子の試合は男子に比べて少ないが、試合自体は珍しいものではなくなった。
 珍しさがなくなったら、本物の強さを求められる。
 今はいい選手が増えてきている途中だ。

 ちなみに、日本人女子の世界チャンピオンは現在六人いる。
 男子は十人だ。
 すごいことなんだろうけどすごいすごいと騒ぐにはビミョーな感じだ。

 先に結果を作り出して、内容が後から追いついてくる。
 なんかずるい感じもするけど、プロスポーツだからしかたない。
 工夫しなければ関係者みんなが生きていけない。

 違和感はあるけどいいこともある。
 チャンピオンが多くなるということは、全体的に試合数も増えるということだ。
 六回戦や四回戦選手にも試合のチャンスが増える。
 チャンスは増えているのだから、負けが多い選手も簡単にあきらめる必要がない。
 やり直すチャンスが多い。それは素晴らしいことだ。

 高野選手も神田選手もまた体を鍛えてたくましい姿で帰ってきてほしい。

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■マスボクシング
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 ライオンズジムでは週に一度か二度スパーリングをやる。
 実戦勘をみがくために毎日マスボクシングをやっている。
 マスボクシングというのは寸止めか多少当てるくらいの対人練習だ。
 多少当てる、というのは難しくて、軽く当たっているうちにエキサイトしてスパーリングみたく激しい打ち合いになってしまうこともたまにある。
 そうならないように指導者がリングサイドで見張っている。
 キッズ同士でやる場合はリング内に入ってレフェリングすることもある。

 こないだ、ヒカルがいきなりエキサイトした。
 ひとつ年下のナミとやってて、突然、パンチを当てにいき出した。
 ヒカルは何かコンビネーションを試そうとしたがうまくいかなかったようだ。
 いらいらして距離をつめにいったときに、ナミが両手首を内側に巻き込みクリンチのようにヒカルがグローブを使いづらいようにした。それで攻撃のリズムが崩されたのでいらついたんだろうと思った。

「おい、スパーじゃないぞ」とリングサイドからおれが言った。
 ヒカルはそれを無視した。
 表情を見ると、普段とあまり変わらない。
 だが、明らかに呼吸が荒い。

 ラウンド残り十秒だったので終わるまで待った。

 ナミはヒカルより10キロくらい重く頑丈だし、ヒカルにやられてナミも迎撃していたので、残り時間わずかなら集中力もキープできるだろう。
 そう判断してスパーリングになってしまったマスボクシングを好きなようにやらせておいた。

 ゴングが鳴って、ふたりはヘッドギアを取った。
 目を合わさず、口もきかなかった。
 古山会長も何も言わず、おれも何も言わなかった。

 シャドーボクシングとロープスキップなど無言で淡々とやってた。
 ナミの親が迎えにきて、結局その日は帰るまでヒカルと口をきかなかった。

 キッズの練習時間が終わって、ヒカルは体幹トレーニングや鉄棒など補強をやり、おれのところへ挨拶にきた。
「練習終わります。ありがとうございました」
 むすっとふてくされているように見えた。
 顔を見てたらこっちまでむかむかしてきた。

 ジムの帰りに車の中で聞いた。
「どうだった。今日のマスは?」
「やろうと思ってたことができなかった」
「それでいらいらしてスパーリングになったのか?」
「え。スパーリングなんてやってない」
「うそつけ。パンチ当てに行ってただろうが」
「私が打っても(ナミが)下がっちゃって練習にならないから前に出た」
「思い通りにならなかったらルールを破っていいのか」
「クリンチとか反則もしてくるから」
 おれは黙った。
 ヒカルも黙った。
 おれは完全に頭にきてたが、運転中だったので怒鳴るのはやめておいた。

「試合のときに、対戦相手はおまえが戦いやすいように、クリーンに戦ってくれるのか」
「それはしない」
「審判は反則っぽい動きをいちいち細かく取り上げて注意してくれるのか」
「しないと思う」

 車内はカーナビがついて、テレビ音声が流れている。
 NHKのニュース番組だと思う。
 男性アナウンサーが生真面目に喋っている。
 おれとヒカルが話す言葉もそんなふうに感情が交わらない感じでやりとりされた。
 街灯や対向車の明かりが車内を何度も通り過ぎ、また沈黙が流れた。
 おれが何か話し出すのを待っているのか、ヒカルがおれの方をちょっと見た気がした。

「試合ではいろんなことがあってどんなことが起きても冷静に戦わなくちゃならないのに、今日のおまえは勝手にぶち切れて力任せに殴りにいった。違うか」
 おれはここまでうまく話せていると思った。
 ヒカルは黙っていた。反省しているような空気は感じた。
「練習で難しいことに出会ったらラッキーだろ。それを工夫して乗り越えて成長できれば試合で有利だろ。なのにおまえは簡単にぶち切れたことで、自分が成長するチャンスを無駄にしたんだ。それでよかったと思うか」
 おれは静かに言った。
「だめ」とヒカルは答えた。

 素晴らしい。
 反抗期の娘に的確な論理展開で納得させた。
 指導力抜群のお父さんコーチ。

 ということで、説教は終了にしておけばよかったのだ。

 ところがおれは、助手席のヒカルに話しながら熱くなっていた。
 練習を無駄にして、マスボクシングの直後にふてくされた態度を取っていた娘にむかついてしまっていた。
 こみ上げる気持ちを抑えるように冷静に話していたに過ぎない。
 なので、話し振りに妙な迫力があり、ヒカルは神妙に聞いていたのだろう。

「だめ」とヒカルは答えた。
 おれは右手でハンドルを握り車を走らせたまま、左手でヒカルの頬を一発平手を食らわせた。
「ばかやろ」

 不意打ちを食らってヒカルは一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐに無表情に戻った。
 こいつ父親に平手を一発食らって冷静でいられるのに、たかが後輩とのマスボクシングで熱くなってたらおかしいよな。そんなことを考えながら黙って家まで運転した。

 家に帰ると、かみさんが「あれ、怒られたの?」とヒカルに聞き、ヒカルは「練習でいらいらしたから」と説明した。
 おれは、「こいつの方が先輩のくせに情けないやつだ」と言い、冷蔵庫からビールを出して飲んだ。

 翌朝まで、家の中は暗い感じの雰囲気だった。

 翌朝のロードワークでも走り始めはまだぎすぎすしていたが、動いて汗をかいているうちに普通に話すようになった。

 で、おれが何を言いたいかと言うとこういうことだ。
 マスボクシングがスパーリングになるのと、選手に「冷静に戦え!」と指導者が興奮するのは、本気でやっていると言う点で似ているかもしれない。ということだ。

 これが翌朝の練習帰り、わだかまりの取れつつある父娘トークです(爆)
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http://noonsum.com/151111jasmin.mp3

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【編集後記】
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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 10月の中間テストでは一夜漬け勉強失敗で低得点だったヒカル。
 11月の期末テストのために、あの時の反省を糧に、毎日こつこつ授業の予習復習を続けてまいりました。
 最近テスト範囲が発表されたので、テストのための勉強に移行して、捲土重来に燃えております。

 気温も下がってきたこともあると思うんだけど疲れた顔をよくします。
 栄養のあるものを食べさせ、体調管理をしっかりしてやりたいです。

 みなさんもお風邪などにご注意ください。

 最後に、子供に手を上げるのは悪いことなので反省しなくてはいけないと思います。
 じゃあどのタイミングでどのように伝えたらよかったのか、今後いろいろな形で試してみようと思います。

 メルマガの感想や質問などどしどしお待ちしてます。
 それではまた。

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