━━━━━━━━━━━━━━ vol.56 2015.11.6 ━━
☆ジャスミンライス流星群☆ 【ヒカルチチのメルマガ】
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こんばんは。
ライオンズジムマネージャーで、篠原光のトレーナー兼父親の、シノハラです。
朝晩気温が低くなってきました。
毎朝、中一の娘と、彼女がこの春卒業した小学校のグラウンドにロードワークに行く。
家からグラウンドまでだいたい1キロくらい。
寒くなってくるにつれ夜が明けるのが遅くなってきて、グラウンドに到着する時間になってもまだ薄暗い。
ひと月くらい前はもう青空になってた時間なのに。
秋は季節が過ぎるのが早い。
一度、“寒い冬”というようにポジションが落ち着くとしばらくそれが続く。
思えば、“暑い夏”も長かった。
そして、やっぱり春は短かった。
秋と同じように。
変化しながら通り過ぎるだけの季節。
寒い冬も暑い夏も長く続く。
冬に思い出すのは秋のこと。美しく色づいた山の葉や乾いた夕方の風のささやき。
夏は春のことばかりが懐かしい。淡い青空に広がる花景色や出会いの季節にいとおしさだけしか感じなかった女の子の影。
もう全部終わってしまったんだと気がついてさびしくなる。
時間はぼくらの気持ちとは関係なく通り過ぎるから。
薄暗い秋の朝。
数十分も走っていると、気がつけば太陽が地面から出てくる。
モノクロだったグラウンドや校舎が色を帯びてくる。
娘の吐く息は白く、輪郭がわかるようになった頬や唇は冷気に赤みを帯びている。
いつのまにかおれの姿もはっきりしていて、世界が色を持っていることに改めて安心する。
グラウンドを取り囲む木々の葉は赤く、黄色く、よそ行きの服を着せられ並べられた子供たち恥ずかしがっているように見える。
おれたちにはやるべきことがあり、いつまでもただ自然現象を観察しているわけにはいかない。
淡々と作業を続ける娘とおれは、当たり前のように風景に馴染んでいく。
きれいな紅葉の季節はすぐに終わってしまう。
彼はぼくらを見つめている。少しずつ変化しながら。
そういえば、と振り向いたときにはもういなくなってしまうだろう。
さびしい思いをするのにももう慣れた。
ぼくらはどこかを通り過ぎている途中。
正直言って、今いるここがどこかはわからない。
それでも迷っているとも思わない。
たったひとつの目的があるから。
いつかそこに辿り着いたとき、細かいことを思い出そうとしても多分思い出せない。
ぼくらが今いる景色は美しすぎる。
それくらいのことはわかる。
別にそれくらいでいいと思う。
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■力
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11月3日は文化の日ということで祝日だった。
エアボクシング大会が後楽園ホールであった。
『エアマスター後楽園』といって、ランキング上位選手による今年のエアボクシングチャンピオンを決めるトーナメント戦。
エアボクシングというのは、リング中央にフラフープの輪を置き、それを挟んで対面シャドーをする対決だ。
スピードやフォームやタイミングなどで優れている方が勝者となる。
判定員は元世界チャンピオンを始めとする有名ボクサーたちである。
エアボクシングは五六年ほど前から開催されてきたが、キッズから80歳くらいのお年寄りまで参加できる生涯スポーツとして、徐々に認知度が上がっている。
ヒカルはこの大会に小学校一年生から五年生までの五年間参加しており、U-12の部で四連覇を達成するなど有名だった。
二年生でランキング一位になってからずっと首位の座をキープしていた。
でも、U-15やアンダージュニア大会など実戦の日程と重なることが多くなり、選手を続けられなくなってしまった。
やめるときは、「ボクシングはエアボクシングから始めて、エアボクシングに育ててもらいました。これまで応援してくださってありがとうございました。これからは本当のボクシングの試合でがんばっていきますので、よろしくお願いします」などと挨拶までさせてもらった。
ライオンズジムにはエアボクシングをがんばっている選手が数人いて、その関係で今でもたまに試合会場へ応援に行く。
ライオンズジムでは、試合に出る選手がリングに上がる前に、指導者や仲間が力を送るポーズをする習わしがある。
おれがいつもヒカルが試合の前に気合を入れてやってたんだけど、ヒカルがいつのまにか同じように仲間と祈りを捧げ合っているのを見ると微笑ましい。
子供は何でも真似をする。
こないだのエアマスター後楽園で、出場する別のジムの選手二名がヒカルのところへ挨拶に来てくれた。
ヒカルは、笑いながら挨拶を返し、「試合がんばってね」と言った。
そして、ひとりずつ力をあげてた。
ライオンズジムの仲間たちとやるグローブタッチではなくて、ぎゅっと抱きしめていた。
二人とも勝った。
後楽園ホールの帰りに、「あの力のあげ方は何?」とおれが聞いたら、「昔、パピイがやってくれたやつだよ」と言った。
「あと、釘宮選手にもやってもらったことがある」と言った。
釘宮選手とは、全日本女子大会で六連覇している釘宮智子選手のことだ。
小三の頃にナショナルトレーニングセンターで出会ってからずっとかわいがってもらっている、ヒカルがずっと尊敬している先輩だ。
おれは試合前に心から力を与えたいと思うし、多分、釘宮さんもそうだったと思う。
ヒカルも心から力をもらったと思っている。
本気の波長が合うと強い力が伝播する。
これはまじだ。
おれが昔まだ若くて余裕かましてへらへらしてた頃は、「そういうめんどいの別におれはどうでもいいや」と思っていたんだけど、人生って自分を信じてがんばるより他に何もないじゃないかというほどぎりぎりの状態になったときに周りの誰かに分けてもらえる力のことを心からありがたいと思った。
見えない力が見えるというのを一度経験するとすごい快感。
これは経験したらわかる。でもなかなか見えない。
こないだのヒカルがあげたやつがどうだったかは知らないけど。
なんかおれ怪しいこと言ってるか。
まあしかたないな。この手の話はなかなか難しい。
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■きのこごはん
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季節の変わり目で、うちのかみさんが体調を崩した。
かわいそうに。ゆっくり寝ていなさい。
そう言っておれとヒカルはジムへ行った。
練習が終わって、夜めしが何もないことに気がついた。
いつもかみさんが作るので、急におれたちだけでやらなければならないと気づいて困った。
まず、米を炊かなくちゃならない。
米を炊いている間に、シャワーを浴び、そのあとでおかずを何か作らなければならない。
何を作ったらいい?
いきなりアイディアは出ない。肉か魚かも選べない。
揚げ物かチルドを買ってごまかそうというのはだめな親だと思う。
そうだ。
炊き込みごはんというのはどうだ。
米と鶏もも肉と様々なきのこをしょうゆと砂糖と塩とみりんで味付けして、炊飯器にぎゅうぎゅう詰めにぶちこんでスイッチひとつでできあがった。
ヒカルが卵焼きも作ったし、納豆やキムチも食べた。
うまかったことはうまかった。
栄養バランスを少しは考えたつもりだし腹は膨れて満足した。
でも、味やにおいにおいて何か足りない気がする。
かみさんに聞こうにも寝てしまったので聞けない。
話す相手が少ないので、おれたち二人もいつもより早く寝た。
たくさん眠れたので翌朝は気持ちよく目が覚めた。
朝練してまたきのこごはんを食べた。
二日目のきのこごはんは馴染んでいておいしかった。
かみさんも元気になった。
きのこごはんをおいしいと言って食べていた。
それはそうかもしれないが、うちはひとり足りないだけで困るから家族の一員としての自覚を持ってもらいたい。
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【編集後記】
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
さて、アメリカではNBAバスケットボールのレギュラーシーズンが始まりました。
十月から翌春くらいまでの期間で、決勝戦まで続きます。
日本でもプロバスケリーグが開催されるし、しばらくはおれもボクシングよりもあっち側に行ってしまうことがあるかもしれません。
うちはWOWOWに加入しているので、毎年シーズンが始まると毎日のようにNBAのゲームを見てます。
気に入っているのは、ゴールデンステート・ウォーリアーズのステフィン・カリー選手です。
緩急自在のスピードや細かいフェイク、3ポイントシュートの成功率など、スター揃いの選手の中でも図抜けています。
カリー選手のプレイを見逃さないように番組表を常にチェックし、仕事や生活時間を調整します。
もはや、世界最高峰バスケを見たいというより、大好きな選手を見たいという気持ちです。
おまえはバスケに興味があるのか、それともカリーに興味があるのかと尋ねられたら、もうよくわかりません。
多分、カリーの方が見たいんだと思います。
カリーを中心にバスケを見ます。
やがて、カリーのチームメイトやライバル選手などに興味が出てきます。
まもなく、ライバル選手のチームメイトや、ライバル選手のそのまたライバル選手など興味が広がります。
そうこうしているうちに、年が明けてバレンタインデーあたりの時期にNBAオールスターゲームがあります。
その頃には、今シーズンじゅうぶんに楽しめるくらいの情報が頭に入っています。
二月から六月までの後半戦はバスケ生活が楽しくてたまりません。
男子バスケットボールは超人を見るような楽しみがあります。
二メートルくらいの人間が、全力で走り跳びはねるのですからおもしろくないわけがありません。
バスケットボールは男子だけでなく、女子リーグもあります。
アメリカではWNBA、日本ではWJBLと言います。
女子バスケは男子バスケとはちがった楽しみ方があります。
男子バレーと女子バレーがちがうのと同じです。
カーリングとか、サッカーとかがちがうのと同じです。
顔やスタイルの美しさが求められるということもあるけど、そういうことだけじゃなくて共同作業の妙を見られる楽しみです。
女子競技にはボールや動きや気持ちのつながりを見る楽しさが、男子より大きいです。
女子選手には気づかいや間の読み方など細やかさがあると魅力が増します。
体の強さとか器用さとかはもちろん不可欠ですが、それ以上に仲間との関係性を見る楽しみが大きいです。
仲間と言うのはチームメイトだけでなく、コーチや親兄弟との関係性も興味がわきます。
女子選手っていうのは、実際は男子選手以上に人間として求められるものが多いと思います。
ちなみに、男子選手に求められるのは、訓練された動物としての能力だと思います。
おれがバスケ選手で好きなのは、シャンソンVマジックの藤吉佐緒里選手と羽田ヴィッキーズの瀬崎理奈選手です。
藤吉選手はチームキャプテンで、元日本代表選手として責任感漂うプレーをします。
瀬崎選手はまだ大学卒業して数年の若手で、元気溌剌コートを駆け回るポイントガードです。
どちらも、きれいな顔をしています。
去年はコートサイドSS席で試合観てきました。
今年も行くと思います。
日本バスケもおもしろいです。
興味がある方はぜひチェックしてみてください。
そんなふうにして、夏までおれは頭の片隅にいつもバスケを置いて過ごすことになります。
好きなスポーツを通じて素敵な人を見つけるのってなにより楽しいことですね。
そういうことってないですか。
メルマガの感想や質問などどしどしお待ちしてます。
それではまた。
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