━━━━━━━━━━━━━━ vol.51 2015.9.30 ━━
☆ジャスミンライス流星群☆ 【ヒカルチチのメルマガ】
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こんばんは。
ライオンズジムマネージャーで、篠原光のトレーナー兼父親の、シノハラです。
十月になりました。
2015年も残すところ三ヶ月。
みなさんは計画通りに目標を達成させて一年を終わることができそうですか。
最後がうまくまとまると気分もすっきりするので、お互いうまくやりましょう。
ヒカルは9月17日に所沢市中学校新人陸上大会に出るという話だったのが、台風で三回くらい延期になっていた。
たったの三回くらい、とは思わない。
その日に向けて盛り上げた気持ちが緩んで。また上げて下げて。そういうのをくり返すと、やはり疲れてくる。
十日後の28日。ようやくぐずついた天気が終わった。
ものごとが先へ進むというのはすっきりする。
どんどん行こう。
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■新人陸上大会(午前の部)
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月曜日に所沢市中学校陸上大会 新人戦があった。
これは、一年生と二年生だけが出場できる大会だ。
ヒカルは1500メートル走の選手だった。
おれももちろん見に行った。
朝から見に行った。
ずっとぐずついていたのが、その日はすっきりした天気で、力強い日射しの太陽が出てきた。
会場は、市内の中学校のグラウンドだった。
一周200Mで、土はそれほど整備されていなかった。
グラウンドのあちこちに石灰で白線が引いてあった。たくさんの競技のために。
ウォーミングアップしている選手の足元から砂埃が上がるのが目立った。
体育祭のような雰囲気だった。こんなふうな手作りの会場を、雨天延期のために三回もやり直してくれた役員の先生方や生徒らに感謝の気持ちがわいてきた。
ライオンズジムのおっさん練習生、直樹も応援に来てくれた。
直樹は今は四十歳くらいで痛風持ちの酒飲みだが、中学だか高校のころは陸上部だったそうだ。
十二歳のヒカルのことを本当の友達だと思ってくれていて、この日もわざわざ朝から来てくれた。
中学の部活の大会っていうのは最近は平日にやる場合が多い。
だから、保護者席なんてほとんどがらがらだった。
おれはグラウンドを横切って選手席までふらふら激励に行った。
おれは長髪をラーメンパーマにして、しかもちょんまげにしているので目立つ。
すれ違う中学生ランナーたちの多くがおれを振り返った。
ヒカルの山口中学は陸上部がなく、一年生女子が四人と二年生の男子が五人なんとなく集められた感じでこの大会に来た。
学校の体育着を着ている集団を探せば遠くからでもすぐに山口中の選手だとわかる。他の学校の選手はどこもカラフルな陸上部のユニフォームなので、この子らだけやけに目立つのだ。
一年生女子は昔から顔見知りなので、「調子はどうだ。しっかりやれよ」とか軽く声をかけた。
二年生男子はまったく見たことがない顔だったので、「おはよう。君らも山口中?何に出るの?みんな速そうな顔だな。がんばれよ。今日おれ応援団長だからな」などと適当に言って握手した。
男子らは「ああ。ありがとうございます」とかにやにやしてた。
そんなふうに喋ってたら、どこかの教師が来て、「すみません。ここは生徒だけです。保護者席はあっちです」と困ったように言った。
あ。まじですか。わかりました。すみませんと言って保護者席に行った。
直樹が「おれもヒカルさんに伝えたいことがあるので行ってきます」と言って、こそこそグラウンドを横切ろうとした。
グラウンドに一歩踏み入れた瞬間、ちょっとうるさそうな中年の太めの女教師に捕まって、戻ってきた。
「教員じゃない方はあちらです」とすぐにばれた。
苦笑いをしながら、ちくしょうと言った。
午前中は短距離走の予選中心のプログラムだった。
山口中の選手も出たが、全員びりだった。
午後の決勝に出られる子はひとりもいなかった。
でも、大声で応援して楽しかった。
レースが終わって戻ってきて、みんな「だめだった」と言いにきて、おれたちも「がんばったな。本当によくがんばった」とねぎらった。
みんないちいちおれと直樹のところへ来て、何か言って欲しそうな顔をした。
教師は全員が大会役員なので、あちこちで号砲や計測の仕事をしていて忙しいので、選手は選手同士でいるしかないのだ。
山口中の子たちは大会に慣れていないので、試合後の高揚した気持ちを仲間内だけで処理し切れず、おれたちみたいな大人と話をする時間が必要だったのかもしれない。
短距離走が全滅なのは残念だった。
午前中最後のプログラムは、4×100メートルのリレー予選だった。
山口中の子たちも出た。
短距離走でびりの子たちばかりの四人組だから、もちろんリレーもだめだった。
男子も女子も予選落ちだった。
声を張り上げて応援したんだけど、おっさん二人組に応援されたくらいではどうにも足しにならないほど実力が足りない。
でも、一生懸命やってるのは見ていてよくわかったから清々しい気持ちになった。
たくさん話をしたし、おれたちも一緒に戦っている気持ちになったし、悔しい気持ちも伝わってきた。
保護者席には日除けテントもなく秋晴れの空がむき出しで、高いところから太陽にじっと見られてた。
午前中でもう顔が焼けた。
特におでこが。
ひりひりした。
正午になった。時間ぴったりに昼休みになった。
おれと直樹は居酒屋に昼めしを食いにいった。
おれはからあげ定食で、直樹は海鮮丼を食べた。
ビールは飲まなかった。
午後のプログラムでヒカルが1500メートル走に出る。
満腹になって気分よくグラウンドへ戻ろうとしたら、会社で仕事中のかみさんからメールがありました。
「私も行くから会社まで迎えにきて」
ということで、午後の応援団は三人になった。
かみさんの会社に行くと制服のまま駐車場でもう待っていて、「勝たなくちゃね」と興奮していた。
(……午後の部は次号へ続く!)
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■学校での練習
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ヒカルたちは夏休みの間、学校で陸上の練習をやっていた。
バレー部の先生が、指導書を読んで、正しいフォームや陸上に役立つドリルを仕入れてきて、試合に出る一年生の女子選手が四人を見てくれていた。
夏休みが終わっても、新人戦までの間、朝練を学校でやることになった。
選手で結束力を高めるというのが目的だと思う。
九月は雨が多かったけど、グラウンドが使えない日は校舎の階段を何往復もするなどのトレーニングを続けていたようだ。
おれは小学校の頃から毎朝ヒカルとふたりでやってきたロードワークをやめて、学校での朝練習に専念させた。
疲れさせ過ぎても練習にならないので、思い切ってやめた。
当たり前にやってきた日課がなくなるのは寂しかったけど、ヒカルのコンディション作りがおれの中では最優先だから。
でも毎日、今日の練習はどうだったか聞いてた。
どんな練習をしてきたのかメニューを具体的に聞くと、なかなかきつい内容だったような話をするので、そうかその調子でがんばれよという感じの会話だった。
でも、なんだかおかしいなというふうに感じたことがあった。
本当にちょっとおかしいぞと思ったけど、今はまだ黙っていることにした。
おかしいことというのは単純に、タイムだ。
練習時にタイムを計ったという話が全然ないことがまずおかしいと思った。
とにかく正しいフォームを身につけるための練習を毎日やっているそうだ。
ひたすら基礎練習をやり、グラウンドがぬかるんで使えない日は学校の周りや校舎内の階段を走り続けているのだ。
試合直前だというのに。
なんでかなあとおれは思った。
それがおかしい調整法だというのは誰でもわかると思う。
学校の先生もわかっていると思う。
でも、なんでそんなことさせるのかなあと思った。
試合に出る選手は、試合と同じ距離を同じ緊張感で走らせなければならないだろう。
くり返し1500メートル走のタイム計測をするのが正解だと思う。
試合前のボクサーはスパーリングをするべきだし、受験前の受験生は赤本をやってどんどん模擬試験を受けたほうがいい。
同じように、1500M走の選手は1500Mを走る感覚を磨かなくてはならない。
当然のことなのに、なぜそれをやらないのか。
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http://noonsum.com/151001jasmin.mp3
(……その答えは次号へ続く!)
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【編集後記】
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
100点も取ってないくせに、いつのまにかヒカルが髪の毛をツーブロックにしてしまいました。
ヒカルは、漢字の小テストで100点取ったからいいじゃんと言って強引にツーブロックにした。
夏の練習で汗をかき過ぎて、ツーブロックへの憧れが猛烈に増したらしい。
ボクシングの出稽古に行く先でおしゃれな高校生や大学生に会うので、影響されることがあったのかもしれない。
でもそれが女教師にばれて、職員会議で報告されたようです。
ばれたのが、陸上大会の新人戦で1500M走で二位になり県大会出場を決めたその日。
見たままなので、ばれるのは当然なんだけど、職員会議ではお咎めなしと決まったそうです。
学校では、ツーブロックを男子がやった場合は、その場で坊主頭になるそうです。
女子だから許されたのか。
無名の一年生が県大会出場という快挙で、功罪相殺されたのか。
どっちかわからない。どちらでもないのかもしれない。
でも、坊主にされても別によかったよなとヒカルに言うと、私もそう思ったよと答えた。
どうせ髪の毛なんか伸びるし、女子の坊主もおもしろいからいいよねと笑ってた。
でも、学校側もいろいろ決めるのがむずかしそうだ。
生徒手帳にある校則では、「流行に流されない中学生にふさわしい清潔で活動的な髪型とする。染めたり脱色したり加工をしない」とある。
ツーブロックは加工、ということになるのだろうか。
おれはある程度の年齢になるまで言われ続けてきた言葉がある。
「そんなのおまえ、だめに決まってるだろう。常識だろう」
大人になっても言われたことがある。
「そんなこと当たり前だろう。みんなと同じようにやれよ」
おれはその度に、おまえらのように最初からものごとを決めつけるやつは嫌いだ、と思ってきた。
「おれはおれのやりたいようにやるよ」
ヒカルには、「自分で考えていいことだと思ったら、おまえは自由に楽しくやればいい。誰かに何かを言われて納得いかないことがあってもなるべくその場は逆らわず、逃げろ」と伝えている。
もし自分の知らないルールがあったとしたら、そんなものは少しずつ覚えていけばいい。
ルールなんか人間が決めることだし、その場で声の大きいやつがそうだと言ったらそうなってしまうことだって多い。
世の中にはいろんな立場があって、他人の事情なんかおまえには関係のないことばかりだからあまり気にする必要はない。
にこにこ笑ってはいはい言って、基本的にはおまえは好きなようにやればいい。
おれはそう思ってる。
みなさんもそう思いませんか。
なんかあれですけど、今回はこれで終わりにしますね^^
メルマガの感想や質問などどしどしお待ちしてます。
それではまた。
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