朝型とか夜型とかあるけど、明るいうちに集中力を作ったほうが能率があがるって言われた。
緑色の木の葉がしげる季節は自然が作る音やにおいに包まれるからおれはすぐに目を閉じてしまう。
明るければ明るいほど目を閉じてしまう。
草花がおれに話しかけるように揺れてる場面をまぶたの奥に閉じ込める。
目のまわりが鮮やかな紅色の鳥は山から飛んできたんだ。
名前も知らない初めて会う鳥だけどかっこいいから仲良くなれればいいのに。
でもおれは知ってる。
おれの一番気になる鳥は森深くで眠ってる。
呼吸すら忘れたように静かにうつむいて木の枝をつかんで眠っている。
木の汁みたいなにおいのする湿気に包まれて瞳を閉じてじっとしてる。
森の主。
丸くふくらんだふくろう。
本当の形は誰も知らない。
午前九時なんてぜんぜんもうからない。
街に出ればみんなちゃかちゃか動いてる。
どいつもこいつも形だけそうしてる。
汗を流して眉をしかめて歩いてる。
たくさんの人間の形がすれ違う交差点。
たぶんその中のひとりに電話をかけて今から会おうぜと言ったら午後ならいいよと言われた。
午後じゃおれがだめだよ。
デスクに向かったってなにも出てきやない。
窓の向こうの公園は誰も人間がいない。
植物や昆虫や小動物がそこかしこで動いてるのはわかる。
おれの集中力も出てこない。
ちょっと早めに昼寝したい。
夕方がくるのを待つんだ。
意識は半径30キロ以内をまんべんなく照らしてる。
明るければ明るいほどそれができる。
でもほんとうの力はおれの中に集まってこない。
たくさんのものを探しにいってるかんじがする。
おれは森の主と共感できる種類の人間かもしれない。
夜なら木から木へとはばたいて幸せを感じられる。
すべての材料をつめこんで集中力を出せる。
おれの狙いは誰にも気づかれないだろう。
誰かに知れるのは苦手なんだ。
だからおれは夜型だった。
夜の森が好きだ。
夜になったら連れてってやろうか。
