夕焼けが黄ばんでた。
真実が人類のせいで悪く変わってしまった。
ぼくは涙目で車を走らせた。
世界は悪意を持たない人たちを捕まえては苦しめ続ける。
神様は目を閉じうつむき深い悩みの中にいる。
窓を閉めて音楽を聞こう。
ふくらんでふくらんで飛び出しそうになるけど。
どこへも行かせない。
ピアノの音だけを取り上げて胸にはりつけよう。
そういうさびしい気分に襲われるのもいいさ。
黄色の夕方はまるで子供のころの風景がうつった一枚の写真。
お母さんが待っている。あの借家で。
あの貧乏借家で。
木の穴がたくさんある壁から覗けばしあわせが見えるはず。
ふくらんでふくらんで飛び出した。
長いあいだ我慢してた気持ちだけど君には届かない。
やさしい誰かに届くことはけっしてない。
記憶はゆがめられて語られることを拒む。
冷凍されたまま腐ってしまった肉。
笑いをかみ殺してそれを見ているぼく。
もうひとりのぼく。
忘れ去られることを待ってる。
じっとひざを抱えて。
いったい何がどうなっていたのか。
もう誰も思い出さない。
この夕焼けの色だっていつか真実。
美しく姿を変える。
記憶の中で。
美しかったあの日の君のように。
