語ることは出来ても、いざ自分のこととなると人間そう簡単にはいかないものだ。

第三者目線で話すのと、

当事者として話すのじゃまた色々違ってくる。


恋は盲目。

とか言うけど、むしろ私は盲目な方が色々楽だとすら思う。

たった一度、別に大したことでもなかった。

あの時はなかなか不快だったけど、2年も経つと、そんなに大袈裟なことでもなく、ものすごく傷ついて立ち直れませんというほどのことでもなく。

関係性が関係性だけに、私自身はそれほどのダメージを受けていない。

と、思ってるだけなのか。

プライドが素直に傷つくのを許さないのか。

その後の恋愛において、どうも私は慎重になりすぎているように思う。

別に、一度目の恋愛も落ちる恋ではなかった。

どうしようもなく惹かれて止まないというほどでもなく。

ただ、好きになるとある程度相手の嫌な部分には目を閉じて、いざ別れてみると、あそこが嫌だったここが嫌だったと目を閉じていたぶぶんがどわっと溢れ出て来て

「別れて正解だった。」

と自分を正当化したがる節があった。

そうなると、次はしっかり見極めようと慎重になりすぎて、好きになりかけては冷め、好きになりかけては冷静になり、の繰り返し。

盲目にならずに、注意深く始めてしまうと、急にふっと、いらぬ冷静さを取り戻してしまう時がある。


「あー、ここ嫌だ。」

と一回思うと急に全て嫌になってしまう。

大したことじゃない。嫌だと思う基準はホント些細なことだったりする。

そのくらい…。

と思うのに、一度冷静になってしまった気持ちはもう一度燃え上がらない。


どうも私は「好きだ」と言われることに嫌悪を抱くらしい。

何度も好きだと、甘い言葉を囁かれるたびに、甘い感情より先に、

「簡単にそういうこと言えちゃうのね。」

って、何でかいつも気持ちが冷めてしまった。


ただ、貪欲なのかもしれない。

言葉で伝えられるくらいのものなら、要らないと。

何度も簡単に言葉に出来てしまうくらい軽いものなら欲しくないと。


言葉でしか愛情を表現できないなら偽物なんじゃないかと。


そんな捻くれた思考を常に持ってる。


愛してるといわれるほど、言葉だけで手懐けられてるような気がして。


「そうやって言えば喜ぶと思ってるでしょ?」

なんて、ベットに沈んだ携帯越しの声に問い掛けてやりたくなった。



皆が皆、そうじゃないと分かっていても、言葉に出されるだけで心臓が凍る。


俺のこと好きか、なんて聞かないで。

ちょうど冷静になったところよ。

簡単に好きよ、なんて言わせないで。

言わされるのが1番嫌いなの。



言葉ではいくらでも言える。
そのくせに言葉だけで簡単に手懐けられたなんて思ってもらっちゃ困るわ。

意外に目ざといのよ。


甘やかされるのは嫌いじゃないけど。
べたべたに甘やかして落とした気になるのはやめて。

そんなに恋に夢みてないの。
甘やかされたふりだけは得意だもの。

簡単に引っかかると思ったでしょ。
私ももっと簡単に引っ掛けられて、それでもいいって思えるほどボロボロになりたい。

嫌なとこ全部目をつぶって「それでも好き」と言えるくらい盲目に落ちたい。


どうして盲目になれるの。
どうして信じ切れるの。
どうして簡単に好きになれるの。

傷つかない確証なんてどこにもないのに。

ホントに愛してくれるかなんて分からないのに。


あぁ、やっぱり私は傷つくのが怖いのか。

傷つかないものなんて何もないのに。



ねぇ、いざ本当に駆け引き無しで安心できる人を見つけると、私、何もできないや。









紅都 蓮