【演劇感想】蛮幽鬼 | 京都遊び
今ハマってる作品を私の視点でご紹介。今回は「蛮幽鬼」。

2009年に劇団☆新感線が東京と大阪で公演。その映像がデジタル化され2010年ゲキ×シネとして公開、その後DVDになる。

この作品のモチーフはデュマ作「モンテ・クリスト伯」だということは知らず。(読んだことないのでAmazonに発注したが全7巻と知りビビる)

昨年2018年12月の長男が所属する大学演劇サークルの4回生卒業公演として初見。

長男公演ではほとんど内容を知らずに観た。最後たたみかける話の展開に号泣。

復讐劇なんだけど、それだけに収まらない。

そして、劇団☆新感線のDVDを夫に買わせてじっくり内容を楽しんだ。

ここからは相当なネタバレ、最悪結末まで書くので、これからDVDを観て楽しみたい方は決して読まないでください。この投稿を読んだからといってネタバレの責任は一切取りません。

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内容は最初は復讐劇としかわからない。

時代は古代王朝時代。出てくる国々は架空だが、イメージとして日本と中国やその近郊辺り。

鳳来国(イメージとしては日本)の若者4人が果拿の国(イメージとしては中国)の星空を見上げ語り合うシーンから始まる。留学を終えて帰国する時がきた。しかし、何者かに一人が殺される。

この話は伏線だらけ。ここも大切なシーン。最後にその伏線が回収されるのが爽快。

ほぼ話の中心は復讐劇だが、私は恋愛劇だと思った。恋愛より、深いかもしれない。愛だ。文字にすると臭いな。

留学生が一人殺されることにより、無実の罪で一緒にいた留学生が投獄される。それが主人公「伊達土門」(だてのどもん)。4人の中でも土門はひときわ優秀な男だった。

親友を殺された上、親友を殺したという無実の罪で決して出られない監獄島へ入れられる。

そして10年の年月が経った。

気づくと髪の毛が真っ白に。
10年という歳月が人を変えてしまった。

己をみて自分を変えた者へ復讐を誓う。そして脱獄へ。

脱獄するのを手伝った男がいる。名前はない。ただ「サジ」と呼んでくれと。

サジはローラン族という暗殺者集団の部族。

サジを味方につけて復讐への段取りは着々と進む。

ここまでで前半3分の1ぐらいかな。

役者が揃ってきて面白くなるのは後半。

脚本が素晴らしいので、決して居眠りはしていけない。伏線がわからなくなる。

土門は名前を変える。「飛頭蛮」(ひとうばん)と。

この土門役を上川隆也さんがやる。上川隆也さんって正統派なのよね。復讐の鬼になるにはいい人すぎるっていう感じ。それが実は見事にハマってると最後にわかる。号泣。

最後の結末は書きたいけどやっぱり書かないでおこう。

飛頭蛮のセリフでお気に入りがある。

「私は、私の信じるに足るものを信じる」

深い。深い。

この蛮幽鬼にはいいセリフがいくつもある。 

帝が暗殺される時、暗殺者との会話も素晴らしい。

帝)世間は人を見る目がないね
暗殺者)それが世間ですよ
帝)あぁそれが世間か

暗殺者があまりにも優秀で帝がこのように言ったのだ。

つまり、こうだ。
帝はやはり帝。人を見る目があるのだ。暗殺者はその風貌から暗殺者には決して見えない。世間はそれにまんまと騙される。

人を見かけでは判断できないという事だ。私は割と見かけでは判断しない。見かけも一つの要素ではある。でもそれは一部だ。

この劇の節々に納得できるセリフがあり、面白くて仕方ない。

しかし、言っとくが、暗いし重い。

レ・ミゼラブルを観たことがある人はわかるだろうか。暗い。それに近い。でも深い。こういう脚本が大好きだ。

レ・ミゼラブルと同等ぐらい好きな作品となった。

暗い・深いが好きな方にオススメ!

以上!

写真1)長男の所属する大学演劇サークルの公演ポスター



写真2)ゲキ×シネ 蛮幽鬼
こちらのサイトより拝借