子供時代編
子供の頃、浅草の浅草寺の境内では、たくさんの
大道芸人たちがいて、大賑わいだった。
大道芸のメインは、ガマの油売り。
その日、友達と浅草にいった私は、さっそく
ガマの油売りの見物をすることにした。
いつもは、遠くから見るのだ、その日は一番
前で見てみることになった。
さっそうと登場したガマの油売り、刀で自分の
腕を切り、出てきた血と切り傷をガマの油であ
っさりふき取っていた。
この日は、これからが本番だった。
ガマの油の超能力だ。
一番前にいた私が指名された。
「おい、小僧!お前だ!前にでろ!」
聴衆の前に出されたのだ。それで、額にガマの
油を塗られ、まじないをかけられた。
いよいよ、超能力が出てしまうらしい。
すごい能力が出て、目の前の瓦が簡単に割れる
ようになるのだ。
私は、聴衆の前でガマの油を額に塗られ、まじない
をかけられた。
「よーし、一気にやれ、超能力で瓦が割れるぞ、」
私には、無限の力がみなぎってきた。本当のスーパ
ーマンになった。
一気に手を振り下ろすと、瓦がバッと割れた。
聴衆の割れんばかりの拍手。
拍手に酔いしれた。
それからの帰り道、古い瓦を見つけては徹底的に
割っていった。
どんどん割れた。その日は、考えられないほどの
超能力が身についたのだ。
翌日、その能力が残っているかどうか確かめてみ
たくなった。
瓦を見つけては、手を思いきり振り下ろした。手が
入院するほど痛くなった。
まったく、割れない。もう超能力はなくなっていた。
ガマの油の威力をしった最初で最後の日になった。