子供時代編


子供の頃、浅草の浅草寺の境内では、たくさんの

大道芸人たちがいて、大賑わいだった。


大道芸のメインは、ガマの油売り。


その日、友達と浅草にいった私は、さっそく

ガマの油売りの見物をすることにした。


いつもは、遠くから見るのだ、その日は一番

前で見てみることになった。


さっそうと登場したガマの油売り、刀で自分の

腕を切り、出てきた血と切り傷をガマの油であ

っさりふき取っていた。


この日は、これからが本番だった。

ガマの油の超能力だ。


一番前にいた私が指名された。


「おい、小僧!お前だ!前にでろ!」


聴衆の前に出されたのだ。それで、額にガマの

油を塗られ、まじないをかけられた。


いよいよ、超能力が出てしまうらしい。


すごい能力が出て、目の前の瓦が簡単に割れる

ようになるのだ。


私は、聴衆の前でガマの油を額に塗られ、まじない

をかけられた。


「よーし、一気にやれ、超能力で瓦が割れるぞ、」


私には、無限の力がみなぎってきた。本当のスーパ

ーマンになった。


一気に手を振り下ろすと、瓦がバッと割れた。


聴衆の割れんばかりの拍手。


拍手に酔いしれた。


それからの帰り道、古い瓦を見つけては徹底的に

割っていった。

どんどん割れた。その日は、考えられないほどの

超能力が身についたのだ。


翌日、その能力が残っているかどうか確かめてみ

たくなった。

瓦を見つけては、手を思いきり振り下ろした。手が

入院するほど痛くなった。


まったく、割れない。もう超能力はなくなっていた。


ガマの油の威力をしった最初で最後の日になった。



子供時代編


子供の頃、吉原の近くに住んでいた。

近いといっても、大人の足で30分ほどかかる距離だ。


幼稚園に通っていた頃、散歩がてら、吉原にいった。

歩いていたら、吉原にたどりついてしまったのだ。


すると、きれいなおねえさんが、話しかけてきた。

「暇なの?」

元気よく答えた。

「ん!」

「そう~、子供でもいいや~、こっちへおいで」


そういうと、私を部屋の中へ案内した。


「これから。面白いものを見せてあげるからね、誰にも

見せてもらったって言っちゃだめだよ。約束できる?」


「できるよ!」

とプライドをかけてかえした。


すると、彼女は洋服をぬいで、寝た。そして、東京案内

はじめたのだ。


「このシワがお堀よ、皇居のお堀、そして、ここにある

が、東京タワー。とんがってそびえたっているでしょう。

そして、この真ん中が‥‥」


と彼女は股を大きく開いて、東京案内をはじめた。


その当時、私は狭い世界に住んでいた。浅草には行

とがあるが、東京はまだ知らない。


東京を観光したのはその時が始めてだった。


彼女と約束したとおり、この東京案内は誰にも話して

いない。









子供時代編


子供の頃、誰にでも初恋はあるだろう。


私にも初恋はあった。

それは徹底した片思いだった。


初恋の相手は近所の子だ。


夕方、適当な用事を見つけて家を出て、彼女

の部屋の明かりをみる。


彼女の姿が影絵のように見える。すると心臓が

口からでそうなほど興奮した。


彼女とは学校もおなじ小学校だ。同じクラスだ。

席替えの時に、隣になったことがあった。


隣の席になれただけで、学校生活はばら色だ

った。


ある日、彼女が聞いてきた。

彼女は、私の耳元で、甘い声をだして、

「ね~、ペッティングって知ってる?」


まったく、自分の辞書にない言葉だった。

「知らないよ」


その後、なにを話したのか、人生の記憶から

飛んでしまった。


片思いの彼女の、あまりにも進んだ性知識

の格差に呆然とした。


それからというもの夕方に彼女の影絵を見に

行くこともなくなった。


やがて数年がたち、高校生の頃、彼女が年上

の彼氏と楽しそうにしている姿を見かけた。


彼女は、心の中で完全に遠い存在になった。