子供の頃

子供の頃、ムクという犬を飼っていた。

ムクは雑種で、ベージュの中型犬だ。

たて、話がころっと変わって我が家の伝統の話。

我が家は文武両道の精神なので、自分はまず柔道からはじめた。

誰に習うとうことはないのだ。

テレビを見て柔道の真似をするだけなのだが、かなり真剣だった。

武道は必須だったからだ。

柔道には練習相手が必要だ。

そこで、ムクちゃんの登場。

ムクちゃんに柔道着をきせて、いざ近くの公園に。公園の砂場が柔道

の練習場になった。

そこで、ムクちぇんにともえ投げをやって特訓をする。

あまりにも熱心に投げるので、ムクもおじけづいて逃げようとする。

きっと、ムクちゃんもイヤがっているけど、楽しいに違いない。

そんなふうに考え、また呼んでは投げる。その繰り返しだ。

ムクちゃんがヘロヘロになって、まったく近づかなくなってくると特訓も

おしまい。

柔道の特訓が終わると、きまって近所の肉屋にいってムクのために骨

もらう。

ムクちゃんは地獄の柔道のあとに美味しい骨がもらえるのを楽しみに

していたのだ。



子供の頃、父親と一緒に電車に乗ったことがあった。

その日の山手線はたまたますいていた。

座席に一緒に父親と座ると、父親は変わったことを言い始めた。

「おとうさんと目を合わせない人は犯罪者だ。やがて、立って電車から出て行く。

ほら、目の前の人が降りただろ。きっと何か犯罪をしている。」

「え~、ただその駅に用事があったから降りたんじゃないの」

私が、そう言うと。

「まだまだ、子供だなあ」

などと言った。

父親は元デカなのだが、長い間引きずっていたようだ