TIG溶接が、楽しい

TIG溶接が、楽しい

TIG溶接に関すること溶接、ツール等の事を書いていこうと思います。
株式会社ハイドに勤めてます。
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久々に銅のTIG溶接案件がやってきました。難しい機械加工を施された後の溶接加工なので、本番前にテスト溶接をすることにしました。溶接前の写真を撮影するのを忘れていましたので順番に溶接後の写真の説明をしていきます。

こちらは、

10mm厚の無酸素銅を突合せ溶接した物です。溶接後の材料温度は、500℃前後になっています。

溶接施工の難しいところは、全体に温度が上がらないと溶接したい部分が溶けることは有りません。

薄板であれば簡単に温度を上げる事が出来ますが、厚板の温度は簡単には上がらないので、時間をかけてバーナー等で炙りました。400℃以上、温度が上がったら溶接を開始します。溶接作業に入ると、材料からの輻射熱との戦いが待っています。厚い皮の手袋を使用しても相当熱かったです。溶接後は材料全体が高温になったせいですべて真っ黒の酸化膜に覆われます。ワイヤーブラシで磨いた物が下の画像になります。

他には溶接中に欠陥を発見して補修しながら進まないと後で修正する事が難しい事も発見しました。

しかしワイヤーブラシで酸化膜を除去した後でないと見つけられない欠陥も有りました。本番は更に注意が必要になりそうです。

次に、10mmと20mmの隅肉溶接に挑戦します。ベースが20mmで10mmの板を上に載せます。

こちらも溶接前に撮影するのを忘れてしまったので溶接後の画像しかありません。

サイズが極端に厚く、大きくなったので予熱時間は、3倍くらいになってしまいました。

その分必要な熱量も多くなり、溶接作業の熱も相当なものでその日の夜は手がヒリヒリしていました。

溶接作業はとにかく母材温度を上げるその一言に尽きると思います。

正直、こんな材料を溶接構造にするなんてと思いますが、良い経験が出来そうです。

ワイヤーブラシで掃除した物が、下の画像です。

近日中に新たにYouTube用に動画を撮影してみようと思います。準備ができ次第こちらで紹介します。よろしければ以前の動画もみて下さい。他所がやらない小さなtig溶接や今回の様に他社がやりたがらない動画をアップしています。

YouTube https://www.youtube.com/channel/UCgBTkWg88s1l3B529BpYsaw/featured

 

タングステンの研磨角度について検証してみました。

 

最近は、タングステンの研磨角度を鈍角に研磨すると、アークが集中して溶け込みが深くなるという記事を目にする事が多いので、研磨角度を、15°,30°,45°60の4種類を5A,50A,80Aの電流で出力してみました。5Aでは、鋭角のタングステンの方がスタートが容易で鈍角の物は、スタートがしにくいと感じました。50A以上になると、どの角度もスタートは良好でしたが、鈍角は先端から鋭角のタングステンは先端より上からもアークが出ていました。最後に4種類の映像を並べて比較してみましたが、思ったほどアークの広がりの違いは確認できませんでした。今回のテストではスタート性の違いくらいしかはっきりとした違いは感じられませんでしたが、一概に鈍角の研磨が良いとは思いませんでした。もっと高電流では違いが現れるかもしれませんが、80Aくらいまではスタートの事を考えると、鋭角の研磨の方がストレスが無く溶接できるような気がしました。