台湾の不動産取引は、二つの価格があります。
それは「開價(定価みたい価格)」と「底價(売り手が納得できる最低の価格)」です。
華人世界では「どんなものでも価格を交渉せず購入する=騙された」という価値観があるので、どんなものでも「開價」と「底價」がありますね。
そして、台湾の不動産世界では、「開價」と「底價」の間の距離が、立地や市場の雰囲気によりますが、個人的な経験は人気的な新築物件は0.8割(開價 X 92%=底價)、ド田舎などそんなに人気じゃない新築物件なら2割(開價 X 80%=底價)。
不動産取引がかなり停滞していた5年前には3割もありましたが、今はあまりないと思います。
そして、中古住宅の価格の設定は、新築住宅の価格に影響されますが、
「開價」を決めるのは不動産業者、
「底價」を決めるのは売り手。
不動産業者は、売り手に理想的な価格(底價)を聞いてから、相場によって集客しやすい価格(開價)を決めます。
もし、買い手の「出價(買いたい価格)」=売り手の「底價(理想的な価格)」なら、「達底(「底價」に達した)」と言います。
売り手と不動産業者の契約の中には、「達底」=取引の成立という項目がありますが、主導権を握りたい売り手は「底價」を契約に設定しないのです。
「私の許可を得る前に、どんな価格でも売ってはいけません。」という意味です。(私はこのタイプです。)
でも、華人ですからね。
「達底」=「出價」が高すぎる=価格の交渉する能力が低いという価値観がありますよ。
だから、なるべく「底價」を予測して、それより低い価格を提出するのです。
例えば、
開價(定価)は1880万台湾ドルの中古物件。
底價(売り手がOKの価格)はほとんど1700~1800万台湾ドルの間。
普通は↑を推測してそれより低い1600~1690万台湾ドルの出價(買い手がOKの価格)を出します。
そして、例えば、この中古物件は
開價(定価)は1880万台湾ドル、
底價(売り手がOKの価格)は1750万台湾ドルであれば.......
出價が1650万台湾ドル以下のように「底價」との距離が長い価格だったら、不動産業者は「無理ですよ。」って断りますが、
出價が1700万台湾ドルのように、「底價」との距離が短い価格だったら、不動産業者は「斡旋金(価格を交渉する保証金)」を受けてから、価格を交渉してくれます。
そして、「成交價(取引が成立する価格)」は、基本的に「底價(売り手がOKの価格)」と「出價(買い手がOKの価格)」の間にある価格です。
ということで、こういう流れを知っている売り手は、「底價」を「不動産業者に伝える底價」と「本当の底價」に分けますね。
つまり、
開價(定価)は1880万台湾ドル、
不動産業者に伝える底價は1750万台湾ドルだけど、
本当は1700万台湾ドルでOK。
そして、
不動産業者は買い手の斡旋金をもって「1720万台湾ドルでいいですか」って交渉しに来るときには、売り手はすぐに「OK!」と価格を交渉する契約書をサインします。
売り手がサインしたら、取引が成立しますね。
華人ですから、
売り手があっさりと価格を交渉する契約書をサインすると、「まさか、高すぎる出價だったか?本当はもっと低い価格で買えるのでは?」って後悔してしまう買い手がいますよ。
でも、売り手が価格を交渉する契約書をサインしてから、斡旋金を違約金として没収する権利がありますから、後悔しても間に合いません。
もちろん、売り手が価格を交渉する契約書をサインしてから後悔するなら、斡旋金と同じ金額の違約金を買い手に払う義務があります。(斡旋金が10万台湾ドルであれば、その斡旋金を返してから、また10万台湾ドルの違約金を出さないとだめです)
ということで、
売り手は不動産業者の連絡によって、本当の底價より高い出價があることを知ったら、後悔する時間を与えないように、夜中でもすぐに価格を交渉する契約書をサインしに行きます。
そして、不動産業者はすぐに売り手がサインした価格を交渉する契約書を手に入れても、24時間くらい待ってから「売り手に何回も断れても、一晩中ねだっていたので、ようやく同意を得ました!」って買い手に伝えますね。
以上は、台湾人(華人全員?)の価格交渉法でした。
ややこしいですよね。
でも、慣れると意外とシンプルですよ。