台湾でもっとも有名なIT産業エリアは北部の新竹科学園区(略称は「竹科」)。
二番目は台南科学園区(略称は「南科」)。
TSMCのおかげで有名になったかわかりませんが、とにかく、両方ともにTSMCの工場があります。もちろん、ほかにもいろいろなIT企業がそこを拠点として運営していますね。
そして、こういうIT産業の特徴としては、年収が高い人が多いことです。
もちろん、その代わりに日常をゆっくり楽しむ時間があまりないのですね。
じゃあ、お金が余裕だけど、時間がない華人(?)は何をするのかなぁ?
そう。
それです。
不動産を買うのです。
そして、台南科学園区はまだですが、内見をする時間がない人ばかりなので、新竹科学園区の不動産業界は「中人」という職業が生じました。
台湾で新築住宅を売ってくれるセールスさんは「代銷」といい、中古住宅を売ってくれるセールスさんは「房仲」といい。
この「中人」は「代銷」でもなく、「房仲」でもなく、独立している職業です。
彼たちは、新築住宅などの情報を収集して、カタログを作って、忙しいお客さんに見せて紹介してくれます。
そして、気になる物件があれば、代理として契約を締結するのです。
ちなみに、プロの不動産投資家は内見なしで、電話で物件の状況を確認してから「買うよ」ってお金を払う方がいるので、こういうカタログだけ見て買うことは、一般人から見てはおかしいかもしれませんが、不動産投資家にとってはそんなにおかしくないのです。
ただし、こういうすべてを「中人」に任せることは、危ないです。
その中には、代理として契約を締結してくれたふりをして、実はお金をいただくだけである詐欺師が多いですから、被害者が多いそうです。
それでも、新竹科学園区にはやっぱり「中人」を依頼する人がいるのです。
なぜなら、そこの不動産業界は歪んでいるのですから。
いい新築住宅の店がオープンする日の朝早くから、たくさんの不動産投資家が並んでいて、オープンしてから、順番に入って、紹介を聞いて、時間内に「買う」って決められないと、「はい、次!」という感じで次のお客さんに紹介します。
そして、プロの不動産投資家なら、価格、立地、物件の間取りを見れば大体投資する価値があるかどうか判断できるので、即座に「買う!」って決められますね。
だから、人気グルメのように、その日に「売り切れで~す」という新築住宅は多いそうです。
怖いですよね?
ネットの情報やニュースからこういうことを拝見した時には「面白い!」って感じましたが、自分も参戦すればきっと怖いと思います。
でも、おかしいですよね?
みんな多忙である科学園区なのに、朝早くから並ぶ暇はないのですよね?
そう。
並んでいるのは、多忙なエンジニアさんたちではなく、中人たちです。
だから、いい物件がすべて中人たちに奪われたから、投資する価値がある物件が欲しいなら、中人に買うしかありません。
つまり、不動産投資業界のダフ屋です。
幸いに、こういう状況は新竹科学園区以外の台湾では、まだありませんから、ありがたいですね。