ロマンティックエロティックグロリアス -90ページ目

眠っている間、俺はあっちにいたり、こっちにいたりした。

自分の命が埋まってる華瑶苑にいる、自分であるウグイス。

いくつも埋め込んだ天域中の守り石。


同時に自分と言う存在がいくつもある感覚――とても不思議な感覚――心は、ひとつしかない心は、その命を渡りゆく。


夢の中で――


漂うだけの意識はそれでも、自分というもののよすがを求め、暖かい大地の感触や降り注ぐ花びらの色、近くを流れるせせらぎの音なんかを、視るともなく視、聞くともなく聞き・・・ふとした瞬間に俺が体にいないことを知る。


あらゆる場所に――


何処にでも有り何にでも成る。


もしも命が有限でなく、自由に引き出し扱えるものなら、俺はすべてにさえなれる。


世界のすべては俺と同じもの。


俺という存在は、そういうもの―――


目覚めた時そばに人もなく、窓の外は昼下がり。


俺は上体を起こしてしばらくぼーっと、周りの気配を聞いた。


誰もいねぇでやんの・・・

つまんねぇ。

菫くらい、側にいればいいのに。



ごろん。


俺はふて寝。



・・・しようと思ったけど、長い眠りの後ってどうしようもなく腹が減ってる。もんのすごい空腹で、寝られなかった。


シャクだったから、菫じゃなくて鳩を呼んだ。


鳩を呼ぶことは咲宮様を呼ぶこと。

そしてこの城の中で咲宮様を呼ぶことは、少しの声で足りる。


きっと華瑶苑でなら、俺だってそうだと思う。


この城、天域全体が咲宮様の体のようなもの。


自分の体を見るように、天域を見ている。この中で発せられる声は、自分に向けて話しかけられているのとおんなじだ。


天域自体は自分じゃないのに、不思議だな。



俺はそんなことを考えながら、がつがつ飯を食った。


それから、またごろん、と横になった。



ふて寝。