眠っている間、俺はあっちにいたり、こっちにいたりした。
自分の命が埋まってる華瑶苑にいる、自分であるウグイス。
いくつも埋め込んだ天域中の守り石。
同時に自分と言う存在がいくつもある感覚――とても不思議な感覚――心は、ひとつしかない心は、その命を渡りゆく。
夢の中で――
漂うだけの意識はそれでも、自分というもののよすがを求め、暖かい大地の感触や降り注ぐ花びらの色、近くを流れるせせらぎの音なんかを、視るともなく視、聞くともなく聞き・・・ふとした瞬間に俺が体にいないことを知る。
あらゆる場所に――
何処にでも有り何にでも成る。
もしも命が有限でなく、自由に引き出し扱えるものなら、俺はすべてにさえなれる。
世界のすべては俺と同じもの。
俺という存在は、そういうもの―――
目覚めた時そばに人もなく、窓の外は昼下がり。
俺は上体を起こしてしばらくぼーっと、周りの気配を聞いた。
誰もいねぇでやんの・・・
つまんねぇ。
菫くらい、側にいればいいのに。
ごろん。
俺はふて寝。
・・・しようと思ったけど、長い眠りの後ってどうしようもなく腹が減ってる。もんのすごい空腹で、寝られなかった。
シャクだったから、菫じゃなくて鳩を呼んだ。
鳩を呼ぶことは咲宮様を呼ぶこと。
そしてこの城の中で咲宮様を呼ぶことは、少しの声で足りる。
きっと華瑶苑でなら、俺だってそうだと思う。
この城、天域全体が咲宮様の体のようなもの。
自分の体を見るように、天域を見ている。この中で発せられる声は、自分に向けて話しかけられているのとおんなじだ。
天域自体は自分じゃないのに、不思議だな。
俺はそんなことを考えながら、がつがつ飯を食った。
それから、またごろん、と横になった。
ふて寝。