二人で舞台の方まで回ってから架月城の正門広場へ歩いてくるとそろそろお昼だった。お母様にもうすぐ会える!
『お母様はどうやって来るの?』
まさか天仙京のひとりひとりを扉で移動させたりはしないから、聞いてみた。
『地区ごとに決められた時間に集まって、グループに分かれて配給の天盤から行くんだよ。人数が多いからね』
『お母様は何時なの?』
『11時50分・・・ほら、来たよ』
正門広場に、いっせいに扉の華が咲き乱れた。そこからひとりずつ人がやってきて、次に出てくるひとを離れて待つ。扉の一つ一つには侍女が付いていて、言葉をかけていた。
『花はどこかな』
たくさんの扉を探しきれないでお父様が首を伸ばした。そんなの、すぐわかるわ!
『まだよ・・・まだ来てない・・・あっ、お父様、来たわ!あそこよ!』
『おっ、どこだ?』
『来て!』
お父様の手を引っ張って、大勢の人であふれかえりつつある広場を縫って歩く。あそこよ。あそこにいる。早く、早く!
『お母様!』
ぜんぜん違う場所を探していた風の、懐かしい横顔が振り向いた――お母様!
『菫』
名前を呼ばれて微笑んだローズクォーツのやわらかいピンクの瞳を見たとたん、なんだか涙がこみ上げてきて、スカートを抱きしめてわんわん泣いてしまった。