明日の前夜祭、スタートは正午だ。俺は儀式には参列義務があるから行かなきゃならないが、あんま自分の天域を離れるのは良くないようなので、なるべく帰ってくるつもりでいる。できるだけ凄いウグイスを作って置いていくつもりだけど、まだ俺じゃあ3日離れても平気、とまでは言えないみたいだから。
その代わりというか、菫は明日、それも朝からずっと、後夜祭まで架月城に滞在する予定だ。どうしてそんなことになったのかというと、菫のお父さんの仕事に理由がある。
お父さんは成縞区の区長の補佐をしている。補佐ってことはつまり次の区長ってことだ。区長はこういう儀式なんかがあると俺みたいに参列義務があるから、当然補佐もついて来なければならない。でも初日朝から出張って行ったって、要所要所での会議や儀式の参列の他にはすることがない。彼らは当然宿泊客として扱われているから、その空いた時間を観光して過ごすことになる。せっかく時間があるのだから、そして天域にいるわけだから、こんな機会に娘と過ごしたいって思うのは当然だろう。
3日間ずっと一緒にいることを、言い出したのはでも、お父さんじゃない。菫の師範、雲だ。彼女が内々にお父さんに連絡していて、それで俺にも話が来た。
3年ぶりなんだ。
どうして断れるだろう。
1年以上前と、もうちょっと前に、少しだけ会えたよって話してくれたことがあった。守護の里で修業の合間に、それもお父さんとだけ。
今回はお母さんも来る。そんで3日間親子水入らず、めったにない祭りを堪能できるってこと。だから菫はこんなに一生懸命パンフレットとにらめっこしてるんだ。