『ねえ、この武踊は、もし見られなくっても後から映像もらえたりできるのよね?』
パンフレットを一心に眺めて菫が言う。『知らねえ』って言ったら、怒って『師範が言ってたの!だから大丈夫なの!』とふくれた。じゃあ聞かなきゃいいのに。
菫が見てんのは、明日からの姫神様即位式に催されるイベントや出店のパンフレット。先月くらいにすべての人間に配られてるやつ。ここ2か月は毎日架月城へ行ってるから、そういう舞台とか屋台とかがどれくらいあんのかよく知ってる。だってぜんぶ俺が作ったから。中身は知らないけど。
菫の言いたいことはこうだ。後から見られるなら当日に見るのはやめて、その時しか見たり食べたりもらったりできない屋台の方に時間を割きたいってこと。天仙京も広いから、地方色っていうか、やっぱり食べ物とか風俗とか北と南じゃちょっと違う。極端に違うってことはないんだけど、テイストっていうか、服でいえば模様とか色とかのデザインがかなり違うんだ。あんまり普段交流がない地域の服とか食べ物はやっぱり珍しいから見てみたいって思うみたい。俺には知識があるからそういうのにはあんま興味が・・・作ろうと思えば自分でできるもんな。
逆に人の努力でしか作り上げることができない舞台の方が俺ランクは上なんだけど・・・。