例によって紅が眠りにつき、 | ロマンティックエロティックグロリアス

例によって紅が眠りにつき、私はヒマになった。

緑子様は咲宮様について、もう架月城の主としての一歩を踏み出していたし、ユカリ姉さまは気が向けば遊んでくれるか、という程度だったから。


海の城は綺麗だったけれど、ユカリ姉さまのようにずっと眺めているだけで過ごすには、私は幼なすぎた。


咲宮様は私のために鳩をひとり付けて下さって、専らふたりだけで遊んだ。


鳩は大人しくて、あまり体を動かすような遊びはしなかったけれど、その代わり城のあらゆる場所に連れてってくれた。

深く沈むような海底へ続く螺旋階段、めったに見られない城の外、その抜け道と、城の屋上。


城の屋根に立つと、中にいる時は気づかない海の匂い――


彼方まで広がる水平線から渡り来る風、密度の濃い水気をたっぷり含んだ重い空気がやって来る・・・私のからだを押して過ぎゆく。

大広間の上の露天風呂からあがる湯気が、空へ昇り雲になる。


横たわる竜の骨のようなひと連なりの白い城が、腹に守っている蓮湖。

湖と海を隔てている細い森は、そのまま城のぐるりを囲んでいる。


その先は、無い。


豊かな海がどこまで続くのかわからないが、架月城で人が行ける範囲は広くはなかった。

せめて森に出て遊びたかったが、鳩はどうしても嫌だと言って行きたがらなかったので、あきらめざるを得ない。

つまらなかったが仕方がなかった。