大人しく家に帰ると、ユカリ姉ちゃんも心配そうに迎えてくれた。
知ってるのかな・・・何があったのか。
居間にみんなで座ると、緑子姉ちゃんがお茶を入れてくれる。
『お茶、飲んでから話すから・・・飲みなさい。これも食べて』
そう言って茶菓子も出されたけど、お茶だけ仕方なく飲んだ。
温かい・・・
胸を下りていくぬくもりが、心を少し落ち着けた。
『黙っていようと思っていたけど・・・今回のことは、栗宮様(くりみやさま)の御寿命がもう迫ってきているから決まったのよ』
緑子姉ちゃんがまっすぐ俺を見て言う。
栗宮様は、今の華瑶苑の主・・・
『お前だけ即位させてわたくし達がのうのうとしていることはできない・・・他の宮様方もそう思って同時即位を言い出された。わたくしもね、同じ立場なればこそお前の苦しみが分かってあげられると、お受けしたの・・・』
そうだったのか・・・
じゃあ、どうやっても逃げられるはずも、なかったんだね・・・
『ごめんね、紅ちゃん・・・わたし、いつも草子(そうこ)母さまに何も言えなくて・・・』
草子というのは俺の母さんだ。
『それを言うなら、わたくしも同罪だよ。少なくともお前に力があることに気づいた時に、離しておくべきだった』
それは、無理だよ・・・
草子は俺と離れるくらいなら、死んでたもん・・・
その時呼び鈴が鳴ったので、緑子姉ちゃんは中座した。
ユカリ姉ちゃんがぽつりと言った。
『わたしは紅ちゃんが男でも女でも、どっちでもいいけどな。今の紅ちゃんはかっこいいし、女になった紅ちゃんは、わかんないけど多分、草子母様みたいに綺麗だと思うから』
俺はやっぱり何にも言えなかったけど、ちょっと気が楽になった。