師範に緑子様の家を聞いて、急いで道場から帰り、クッキーを焼いた。
もう夕方になっちゃう!
走って教えられた場所へ行くと、大きな日本家屋のお屋敷が見つかった。
あんまり大きくて私は呼び鈴を押せなかった。
門の前でうろうろしていたら、中から白いふわふわした髪の女性が出てきた。
薄い緑色の蛍石の瞳・・・ちょっと浮世離れしたその人は私を見ると、『なぁに?』と聞いた。
『インペリアルトパーズの子に用があるの』
思い切って言うと、
『あぁ、紅(こう)ね!今はいないわよ。お名前は?』
私は彼の名前を知った・・・紅・・・
『菫といいます。お姉さんですか?』
『そうよ。ユカリというの。伝えておくわね』
お姉さんはそう言ってふわりと歩いて行った。
明るいけどもう遅いと思って家に帰った。
着いて時計を見るとやっぱり5時は回っていて、お母様が『遅かったわね』と言った。
クッキーも渡せなかったし、石も返せなかった・・・
明日、また行ってみよう。
クッキー、焼き立てじゃなくなっちゃった・・・明日もう一度焼こうかな・・・
そう思いながら眠った。