梅宮様はそう言って正座をなさる。晶子もそれにならう。
うす紅色の梅宮様は、この花景色になんと似合うことだろう。
でも、梅宮様は冬の北方にお住まいと聞いている…
晶子が小さな疑問を抱いたとき、梅宮様 はぽつりと言った。
『少し前、ここに子供が住んでおったな…』
『はい?』
晶子は意味を図りかねて聞き返した。
『…いや…』
子供?…子供が住んでいた…
『今は…?』
飲み込みかねて、とりあえず聞いてみる。
『うん?今は知らぬ…。竟(はつ)様が連れて行ってな…』
『はつ……?』
はつと言えば…
『ふふ、可愛い子じゃったので思い出した。捨て置け』
微笑んで立ち上がる。
『今日はお帰り。次に来るときは、しばらく泊ってお行きなさい』
なんだか非常な事を聞かされた気のする晶子だが、それが何だかわからないまま、促されておいとますることになってしまった。
『そなたと結ぶことになっておる守護の娘…』
『晴(はる)でしょうか?』
『そう。晴も次は連れておいで』
そう笑顔でおっしゃって、御橋まで送って下さり、扉を開けて下さった。
梅宮様の魂の御紋、梅紋、車輪がうす紅色に光りながら広がり、扉となる。
晶子は落ち着かないような気持ちで梅宮様に別れを告げ、扉をくぐった。
