
わたしと靴のはなし。
チカチカはもう本当にきれいさっぱりまったくおぼえていない靴
のことがふと話題に上がって
でもなんでかわからないけど
チカチカはそんな靴を履いていた記憶がまったくない。
本当にまったく、記憶なし。
でも
2人のお友達ははっきり記憶していて
細かいディテールまで2人ともぴったり一致してるし
絶対履いてた
っていうから、
なんかとっても気になって
下駄箱のなかを探してみたけど
やっぱり
ない。
話の感じからすると
一回しか履いてない、
とかじゃなくてそれなりにヘビーユースしてたっぽい。
でもない。
靴もなければ
記憶もない。
ごっそりない。
さすがに
不安になってきたチカチカのところへ
バロンがやってきて
ちょっとひみつのはなしを教えてくれた。
その靴は
バーバパパゴッドの指令でチカチカのところへやってきて
しばらくの間をチカチカとともに過ごし
そして
もうひとつの
次
へ、旅立って行ったんだって。
チカチカの記憶といっしょに。
きっと
忘れたのには理由があると思う。
それはしかも
それなりにしっかりとした理由。
そうじゃなかったら
こんなにもきれいさっぱり記憶が消えること
なんてさ
滅多に、ないもの。
さすがにね。
わたしはなにを靴とともに忘れたんだろう

忘れたことについて
考えてもちっともわからないけれど
バーバパパゴッドの指令でチカチカのもとにやってきたその靴は
わたしの記憶といっしょに
あっち側に行くってゆう
使命を果たしてくれたから
今日もチカチカは元気です。
その忘れられた靴のことを想うと
すこし可哀想な気もするけれど
世界は
忘れないことと
忘れたことで
できている
どっちも重要な世界の仕組みってことだよね。
きっとこれからも
何かをなくすし
それはもしかして大事なことかもしれないけど
あっち側に行った靴からメッセージを
バロンがこっそり教えてくれた
出会った事実は事実として存在するんだ
なくしても
悲しまないよ。
ありがとう、さようならわたしの記憶。