昔々、あるところにユガミがいた。

ユガミは失敗すると、自分が否定される気がして、反省しなかった。

自分を守ろうとして、失敗と向き合わなかった。

ユガミは失敗を繰り返す。

そして、失敗しても反省しない。

……俺は悪くない。自分を否定しない。自分、自分…

それは歪んだ自己肯定だった。

あるとき、チエと出会った。

チエは言った。

「歪んだ自己肯定で守ってきたみたいだけど、もうその守り方は古い。小さな失敗を小さく認めて、自分は大丈夫だと体感で覚え直そう。絶対変われるよ」

ユガミは思った。

……小さく認める?

ユガミは0か100かで振り切るように思っていたから、10か20くらいで小さく認める発想がなかった。

……小さくて、いいんだ。

ユガミは小さな失敗を小さく認めることにした。

大きな失敗は、落ち込む。

でもそれでも、小さく、小さく、認めることにした。

……悪い、悪い…なにが悪い?

ユガミは気づいた。

……悪いのは自分の行動で、自分の人格が否定されたわけじゃない。失敗=ダメなんじゃなくて、失敗=改善点。そこがゲームオーバーなんじゃなくて、そこからスタートなんだ。

ユガミの顔が明るくなった。

チエは言った。

「何百回コケても、あなたの価値は1ミリも減らないよ 」

「チエ、ありがとう」

そして、ユガミは気づいた。

「結局、自分のことだけなんだと思う。失敗=自分がダメなんじゃない。失敗=迷惑をかけたなんだ。当たり前の事がズレてる。失敗したら、責任をとらなければならない。誰かが必ず困ったのだから。絶対に迷惑をかけないようにするのは無理でも、みんなのことを考えて、なるべく迷惑をかけないように行動することは、社会で生きる基本なんだ」

チエは言った。

「失敗の本質は、自分がダメじゃなくて、誰かに迷惑をかけたこと。今まで自分の恐怖しか見てなかった。完璧は無理でも、相手の立場を想像して行動する。それができなかったら、後からでも向き合えばいい。これが責任だ」

ユガミは責任というものがわかった。

「相手の立場を想像していこう。そして、改善点があれば直していこう。いつもWin-Winを目指していこう。自分もお世話になる。そして、自分もお世話をする。それが社会で生きる責任」

チエは優しい顔で言った。

「それだけで、世界は少しずつ優しくなるよ。ユガミ、君はもう、歪んでいない」

ユガミは真っ直ぐになったような気がした。

歪んでいた自分にさようなら。

……失敗を小さく認めていこう。

ユガミは思った。





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