タキは悩んでいました。
友人のシンはタキの隣に座りました。
シンは、ただ、黙っていました。
タキもシンも無言のまま、時間がゆっくり流れました。
シンは何もしなかったわけではありません。
無言で、タキの気持ちを感じていました。
……つらいんだろうな、悩んでるんだろうな。
……何か言ってあげたほうがいいんだろうか?
……いや、言葉なんかいらない。
……黙っていよう。タキの気持ちをただ感じていよう。
タキは、シンの気持ちをわかっていました。
立派な言葉を並べられるより
優しい言葉をかけられるより
シンは、ただ、黙って近くにいてくれた。
そのことが、タキは嬉しかったのです。
タキはシンに言いました。
「ありがとう」
シンは微笑みました。
タキの悩みは軽くなっていました。
沈黙は言葉よりも深いつながりをつくることがあります。