大変だ! エネルギーが不足している!

頭の世界はパニックにおちいっていた。

大元からエネルギーが供給されない。

弱っていく人々。

イラつきだす人々。

腹が減り、喧嘩ばかりする人々。

頭の世界は末期症状。

新しいエネルギーを開拓するためチームが結成された。

カンとカク。

2人は合わせて1人のようにウマがあった。

カンは言う。

「胸の奥にエネルギーがあるらしい。そこへ行くぞ」

カクは言う。

「あそこか。あそこは未知だな。中学生くらいから使うのを忘れてる。開拓は困難を極めそうだ」

カンとカクは手探りで胸の奥へ入っていった。

2人は気付く。

エネルギーなど、どこにも無い。

「どういうことだ。たしかにここにあるという情報があったのだが」

「いや、たしかにエネルギーの痕跡がある。ただ、回路が違うようだ。頭の回路とは別次元だ」

カンとカクが試行錯誤していたとき、頭の世界はさらに荒廃していった。

ゾンビがでてきた。

頭の世界の影響が胸まで来ていた。

カンは言った。

「昔、見た映画で、主人公が言っていたんだ。考えるな、感じろ、と」

カクは言った。

「それは俺も見た。今ならわかる。判断をしないということだろ。言葉が感覚の流れを邪魔するんだ」

2人は同時に同じことを思った。

……そうか、考えるな、感じろ、か。

カンとカクは、感じることの奥にあるものにたどり着いた。

そこにあふれるようなエネルギーがあった。

カンは言った。

「これで世界は救われる」

カクは言った。

「救われるどころか別世界になるぞ」

カンとカクは、エネルギーのゲートキーパーになった。

世界は救われた。

人々は、カンとカクを忘れないように胸に刻み込んだ。