昔々、あるところにカンシャとドリョクとゼツボウの3人が旅をしていた。
とある酒場でジコチューというお酒を飲んだ。
すると、3人はジコチューに取り憑かれてしまった。
……自分だけが大切だ。他の人なんてどうでもいい。自分さえ良ければいい。
カンシャは感謝を忘れた。
たくさんもらって当たり前。
足りない、足りない、もっと欲しい。
カンシャはいつも飢えているようになった。
ドリョクは努力を忘れた。
他の人のために頑張る?
なんのために?
楽して生きれば、それでいい。
ドリョクは怠け者になった。
ゼツボウはさらに絶望した。
俺みたいに孤独な人間はいない。
虚しい、寂しい、哀しい。
俺、俺、俺、俺、俺の心の中に大きな穴が空いている。
ゼツボウはどんより落ち込んだ。
カンシャはゼツボウを見ると、優しい気持ちを思い出した。
あれ…私は、ゼツボウに救われたことが、ある。
「ゼツボウ、私がいるよ。ひとりじゃない」
ドリョクはゼツボウのために頑張っていたことを思い出した。
俺はずっと、ゼツボウと一緒に頑張ってきたんだ。
「ゼツボウ、おんぶしてやるよ。夜風に吹かれてみようよ」
ゼツボウは2人の手を振り払った。
「ほっといてくれ。俺なんかどうなったっていいんだ」
ゼツボウはどん底へ落ちていった。
ゼツボウのまわりは真っ暗になり、深い闇におおわれた。
カンシャとドリョクはあまりの暗さに恐怖を覚えるほどだった。
2人は思った。
……くるぞ!
そのとき、風が吹いた。
チャンスの天使が現れた。
天使は言った。
個にして全。全にして個。
カンシャは悟った。
一人で生きてると思った。
でも違った。
みんなの中に私がいる。
私とつながるみんなに感謝するんだ。
ドリョクは悟った。
自分のために頑張ってると思った。
でも違った。
誰かのために頑張るとき、120%の力が出せる。
それが本当に頑張ることだ。
ゼツボウは悟った。
独りぼっちだと思っていた。
でも違った。
心の中にみんながいる。
こんなにも俺は誰かとつながってる。
俺は独りじゃない。
取り憑いていたジコチューは砕け散った。
3人は笑顔を取り戻した。
カンシャは言った。
「いただけるものに感謝。足りないなんてもったいないことはもう言わない。つながりがあるから生きていける」
ドリョクは言った。
「誰かのために頑張るから、笑顔になれる。みんなの笑顔を見るために頑張ってるんだ」
ゼツボウは言った。
「俺のことばかり考えて、どん底にいたとき、カンシャもドリョクも優しい言葉をかけてくれたね。嬉しかったよ」
カンシャ、ドリョク、ゼツボウの3人の胸に風のエネルギーがチャージされた。