昔々、あるところにカンシャとドリョクとゼツボウが旅をしていた。
カンシャは、小さなことにも感謝した。
ありがとうが口癖だった。
カンシャがありがとうと言うたび、まわりの空気があたたかくなって、ドリョクとゼツボウの気持ちを和ませた。
ドリョクは、いつもがんばっていた。
みんなが落ち込むとき、いつも引っ張ってくれたのはドリョクだった。
ドリョクが前へ進むと、みんなが精一杯の力を出して後へ続いた。
ドリョクの背中から光が見えるようだった。
ゼツボウは、いつも絶望していた。
ため息ばかりついていた。
カンシャもドリョクも、ゼツボウが困らせるたびに優しく声をかけた。
なぜ、そんなに優しいのだろうか?
ゼツボウには、他のみんなには無い特殊能力があった。
ゼツボウがまわりの空気をどん底まで落とすと、決まって天使が出現した。
それはチャンスの天使だった。
決まって幸運が訪れた。
だから、ゼツボウも大切な仲間。
カンシャもドリョクも、めんどくさいなと思いつつ、いつもゼツボウに救われていた。
そんな三人の旅のお話。