つまらない人間だと思い込んでいた。

中学時代、友達とうまくいかず、人間関係に自信を失っていた。

大学生のとき、インターネットをはじめて文章を公開するようになった。

つまらない人間だとウケない。

今でいうインフルエンサーになりたいと思った。

本を読み、文章を推敲する日々。

文章はウケなかった。

しかし、少数の読者がいた。

その方たちに励まされ、更新を続けていた。

あるとき、年上の女性の方と相互フォローした。

魅力的な文章を書く方で、出会った日から、気になっていた。

向こうは大人で、私は子供。

若気の至りで、相手に大変な迷惑をかけてしまった。

そのとき、その女性からいただいたのが、「相手の心を思いやってください」という言葉。

思い返せば、中学時代、自分のことしか考えず、友達にイヤな思いをさせていた。

つまらないから、うまくいかないのだと思い込んでいた。

でも、本当は、相手を大事にしないことで、人間関係がうまくいかなかった。

社会人になってからも、インターネットで文章の公開は続けていた。

あるとき、後に妻になる人と出会った。

更新するたび熱烈なコメントをもらい、自然な流れで付き合うことになった。

初めてのデートの日、彼女に会うため、車を運転しながら思った。

彼女を大事にしよう。

大事にするとはなんだろう?

それは、自分の話しばかりしないで、相手の話しをしっかり聞くことだ。

会話がつまらないのは、それが自己中心の会話だから。

会話は、キャッチボールのように、双方向のあるものがいい。

交互に相手の気持ちを受け止める会話が楽しい。

つまらない人間だと思い込んでいた。

そのつまらなさは、相手の気持ちを大事にしないことだった。

考え方を少し変えるだけで、人生が変わることもある。

デートは無事、終了し、1年後、彼女と結婚した。