生きることは、毎日、足したり、引いたりするようなもの。
良いことをすれば、プラス。悪いことをすれば、マイナス。
その足し算と引き算の積み重ねが、長い年月をかけて、その人の姿としてあらわれる。
マイナスのことをたくさんしても、「徳貯金」があるうちは、目立たないかもしれない。
でも、「徳貯金」が尽きて、底が見えはじめたとき、自分が取り返しがつかないところまで来てしまったことに気づく。
取り返しは、いつでもできる。
人生の終盤でも、逆転満塁ホームランは打てる。
でも、そんな風に、人生V字回復できる人は、そんなにいない。
また、プラスのことをしても、すぐに結果があらわれるとは限らない。
大きな鍋で水を沸騰させるように。
長い長い加熱の後に、やっと、お湯が沸くこともある。
途中で、加熱を止めてはいけない。
中年を過ぎると、体の無理が効かなくなる。
自然と、無理のない範囲での動き方をするようになる。
短期間ですごいことは、もうできない。
毎日、少しづつ、ゆっくり、大きな鍋を加熱するように。
水が冷えていく速度より、加熱が勝るように。
少しづつプラスを重ねていきたい。
それがどうなるかはわからない。
ただ、何かに向かってプラスを重ねていることが、生きる楽しみだと思うのです。