十代の頃からポンタさんのライブを見に行ったり、日本一大好きで尊敬するドラマー
村上ポンタ秀一さんの訃報。

色々な思い出が溢れて胸が張り裂けそうな程
悲しいです。



デビューまもない頃、ポンタさんがやっていらした音楽番組「ずっと好きな歌」にお声をかけて頂き初めてご一緒させて頂きました。

この番組では好きなアーティストを
トリビュートしてトーク&ライブをやるという内容で、私は是非“アレサ・フランクリン”をトリビュートしたいと。

番組収録前に、ご挨拶兼ねてドキドキしながら
六本木PITT INでのポンタさんのライブに
お伺いした時、サングラス越しの鋭い目線で

「アレサなんてわかんのか?ちゃんと歌えるのか?」との先制パンチに

「私なりですがアレサを聴き込んで
影響を受けたアーティストなので、歌えます。」と、若さゆえの身の程知らずな
即答をしてしまって。

今ならきっと、
アレサの足元にも及んでいませんが
頑張りますって言っているだろうな(笑)

そして、迎えた収録日当日、
ポンタさん含めた錚々たる大先輩ミュージシャンの方々とのサウンドチェック含めた
初めてのリハーサル。

アレサの“Think” を歌い終えた直後
ポンタさんを見ると、ちょっとこっちに来てという風に手招きをされて。

あ...また厳しい事言われるんだろうな...って
先日の先制パンチも心によぎりつつ
内心恐る恐る ポンタさんの所へ。

「Tina、この前 六本木PITT INNで俺が言った言葉、ごめん忘れてくれ。俺はいつでもお前の後ろでドラムを叩くよ。近々、Tinaライブ決まってるのか?」と。

私の予想に反してどころか
恐縮する程のありがたいお言葉と

緊張と感激と安堵感とが入り混じった
その時の記憶は一生忘れられません。

それ以降、私のブルーノートツアーや
ポンタさんのライブや作品でも
お声がけ頂いたり、TinaPon(ティナポン)名義で定期的にライブイベントもやらせて頂いたり。







特に印象的に残っているライブは
青山円形劇場でのポンタさんのソロライブ
”Rhythm Designer”にドラムと歌のDuoでのライブで、

勿論ドラムと歌のみのライブは私にとって
初めての経験でした。

ポンタさんは常々、歌心(うたごころ)
という言葉を演奏の際にいってらして
本当にポンタさんのドラムは
リズム楽器を超えた、まるで歌のようで。

ポンタさんのドラムだからこそ出来る
ドラムと歌のDuoでのライブで、
私にとってとても衝撃的な経験と共に
新しい音楽観を教えて下さいました。

唯一無二な偉大なドラマーと
数々の場面でご一緒させて頂き、
身の丈以上の経験をさせて頂けた事
本当にありがたく、言葉では言い尽くせ無い程の感謝と尊敬の思いです。

一関にある“Basie”にも連れて行って頂いたり、夜通し飲みに連れて行って頂いたり。
本当に公私共に一緒に過ごさせて頂いた
時間の中で沢山の事を教えて頂きました。

ある日、ポンタさんが「Tina
これでドラムの練習でもしたら?」って
ポンタさんモデルのスネアドラムを下さって。
恐れ多く練習なんてとずっと大切にしているのですが、私にとって一生の宝物です。


つい先日の明け方、思い立って聞いたレコード
山下達郎さんのアルバム”SPACY“

1曲目の”Love Space”のイントロの
歌う様なドラムで、調べたらやっぱり
ポンタさんで。

そんな事を思いながら呟いたりしていた
ばかりだっただけに、
正直、現実を受け止めたくなくて、
受け止められないでいます。

今までもこの先もずっと
日本一大好きなドラマーで尊敬しています。

ポンタさん、ありがとうございます。
またご一緒出来る日まで。。。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。