また一年がめぐり、お盆がやって来た、幼い頃はご先祖様が帰って来ると云われ、お墓にお迎えに行った。
この頃飛んでいる赤とんぼはご先祖様の魂が宿っていると教えられたもので、当然ながら昆虫を取ったり、釣りに行ったりなんて出来なかった。
また、八月の十六日は地獄の釜の蓋が開く日で、釣りになんか行ってたら地獄に連れて行かれると云われ、じっと我慢していたものだ。
時代が変われば考え方も変わる、今ではお盆休み(夏休みか)のような連休こそ釣りに行く人も普通になった。
九州の真ん中の山奥でも、この時期に合わせて祭りや釣り大会が開催される、若い者達が都会へと出て行って、一年のうち盆正月くらいしかない帰省を一家団欒で楽しく過ごそうと考えているのだろう。
それはそれで良いと思う、古くからの慣習が廃れていく事には一抹の寂しさも感じるが、時代とともに人は変わり、人とともに時代は移り変わって行く。
それでも、先に旅立ってしまった人への想いは連綿と続く。
私も、今日、先に逝ってしまった娘をお墓に迎えに行った、お盆の間だけは家に帰って来てくれる。
本当に帰ってきてくれたらどんなに嬉しい事だろう、話したい事が、聞きたい事がいっぱいある。
十五日には送り返さなくてはいけない。
神や仏やあの世は信じないが、信じたい時もある。