※ネタバレなし。
1.ファルコン&ウィンター・ソルジャー
スティーブ去りし後の『キャプテン・アメリカシリーズ』の世界観を描く。つまりは『ヒーロー去りし後のヒーロー映画の世界観』を描く点で挑戦的な作風。
バロン・ジモの発言を通してスティーブの高潔さが「再現性のない特例」として定義される。ゆえに後に続こうとするサム、バッキー、ジョン、カーリーが皆、不完全な人間味を持って描かれる。
しかし、不完全であることは悪いことではない。完全な存在が力を持ち君臨すれば、それはスティーブのようなごく一部の例外を除き、支配構造を生んでしまう。バロン・ジモの懸念した「至上主義者」だ。
だからこそ、不完全な者達がお互いを補い合い、個人が君臨するのではなく「象徴としての希望」を守ることが平和への道と本作は説く。サムが「超人血清」を拒む理由もそれだ。現代的な世界観をベースに、現代にこそ必要なメッセージが響く。
キャラクターの継続性を特色としてきたMCUだか、スティーブ不在という条件下でここまで『キャプテン・アメリカシリーズ』の世界観を継承できている点は驚きだ。キャラクターに限らない、世界観やテーマ性というMCUの強さを再確認させられる。
2.エターナルズ
スパイダーマンのような身近に感じられるヒーローとは一味違う。力を持つゆえの孤独に焦点を当てた異色作。
美しい映像美と壮大な世界観と対比されるのは極めて素朴なエターナルズ達の人間的感情。互いを想う気持ちに偽りはなくとも方法論の違いからすれ違いを余儀なくされる悲哀が染みる。
特殊能力の描写も興味深い。材質変換能力を活用し農業を手助けする描写は、戦いではなく、生活に寄り添うヒーロー像として新鮮。固有の特殊能力をパズルのように組み上げる、ソリッドな戦闘描写の設計にも引き込まれた。
3.ワンダヴィジョン
何よりもこだわりのビジュアルに惹き込まれる。シットコム、ホームドラマの要素を精密に再現する表現力に圧倒されるが、特筆すべきはその活用方法。メタフィクション的な演出で視聴者の恐怖を煽りつつミステリー要素で物語を加速させていく。
「アベンジャーズ」作品で初登場したワンダとヴィジョンが全く異なる作風で、親としての新たな一面が描かれる。様々なジャンルを横断し、キャラクターを多面的に掘り下げるMCUの強みが連続ドラマという新たな媒体でより一層磨かれること証明する快作。
ヒーロー映画から続く世界観ながら、アクションの割合を最低限としつつも最後まで引き込む大胆な構成にも唸った。
4.ホークアイ
クリントの長きに渡るヒーロー活動の総決算、ケイトのヒーローとしてのオリジン。キャリアの「終わり」と「始まり」を鮮やかに対比させつつ、「まだ戦えるのでは?」とクリントのまなざしが徐々に上向いていくのが良い。
今や多彩な作風を内包するMCUだが、シリアスとコメディを自由闊達に横断するクリントの人間性が反映された本作は、ヒーローの矜持の原点を想起させる点で重要だ。
しかし、本作で恐ろしい点が一点。『アベンジャーズ』第一作で子供だったケイトが現実の時間経過同様の流れで大人に。時の流れの速さを痛感させられるが、フィクションの中でこのような実感を与えてくるのは現実のタイムラインとリンクするMCUならではだろう。私も年を取るわけだ。「光陰矢の如し」とはよく言ったものである。
5.デッドプール&ウルヴァリン
MCUと20世紀FOX作品の合流という一大イベント。難しい命題だが、掟破りのデッドプールが矢面に立つことで無理筋を実現。無茶な世界観統合も「まあ、デッドプールのやることだし・・・」と納得させる戦略。破天荒なイメージと裏腹に、巧妙な作品でもある。
マルチバースの説明パートがややテンポを削ぐ等、不満点もあるが、ウルヴァリンのやさぐれた魅力はトップクラスに掘り下げられている。何年経っても、新たな魅力を掘り下げる余地のあるマーベルヒーローの懐の深さに圧倒される一作でもある。
【総括】
最近MCUの記事を書けてないので、思いつきでまとめてみた。今回挙げた5作以外では『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』もお気に入りだが、こればかりはネタバレ無しで魅力を紹介することは難しく、断念。
色々言われてしまうエンドゲーム以降のMCUだが、作品単位ではハイクオリティのものも多い。
