※ネタバレあり。

 

EP4『新たなる希望』直前の「知られざる戦い」を描く本作。

 
歴史を紡ぐのは、何も名を残した者だけではない。歴史に記されない数多くの者たちの行動と決意が、歴史の流れを決定付けていく。そのような現実を再確認させてくれるのが本作だ。
 
元来、映画というのはその構造上、特別な者と、特別でない者を分けてしまう。一人の視点人物、主人公を中心に、関係者やイベントを配置していくことが視聴者に一番分かりやすく物語を伝える方法だから。
 
「平凡な人間」を主人公とする作品も多いが、そのような者もエンディングとなる頃には成長し評価され、「特別な者」となる。物語は構造上「特別でない者」を描くことは難しい。
 
そのような難点を超え、本作は特別でない者達「ローグ・ワン」の決意と行動が歴史を揺るがすという現実に共鳴する物語を描き切った。
 
その方法論は「スターウォーズ」の世界観に展開されるスピンオフという本作の背景故に実現されたものだ。
 
「スカイウォーカー」の血統を主軸に展開されるシリーズの流れから見れば「ローグ・ワン」の面々は歴史の過ぎ去る一部であり、後世に名が残るわけではない。そのような残酷な現実を背景とするからこそ、「ローグ・ワン」の面々の、「希望を繋ぐため」の戦いは胸を打つ。
 
特別でない者達の戦い。しかし、決して無意味ではない戦い。
 
壮大なサーガの一部として展開される命を燃やす戦いの熱量は、ある意味で本流さえ凌駕する。スピンオフとしてジェダイやフォースの描写を限定的とすることで、スターウォーズの「戦争映画」的側面が強調され、これまでとは異なるスリリングな作風が全面的に展開される。
 
厳しい情勢だからこそ希望の重要性は強調され、そのために懸命に挑む者たちの熱量はダイレクトに胸を打つ。
 
クライマックスではデス・スターの設計図を巡り、情報の奪取に挑む者、通信を確保するもの、防衛に徹する者とそれぞれの役割を効果的に描写しスリルある駆け引きを描く。壮絶なドッグファイトも含め、ライトセーバー無しでここまで観客を引き込むのかと膝を打った。
 
そしてライトセーバーの本作の唯一の登場はあまりに効果的。すべての幕を引かんとする圧倒的脅威。特別なダース・ベイダーの猛威が強烈に描かれるからこそ「特別でない者達」が一矢報いることが痛快に感じられる。
 
スピンオフでありながら、本流とは異なる魅力を確立した本作。スターウォーズの世界という広大な宇宙に眠る可能を感じさせる作品として究極の一作であると初見の際には感じた。
 
そして、そのような予感を裏付けるかの如き、後の『ハン・ソロ』、『マンダロリアン』を始め数々の良質なスピンオフの登場はファンとして嬉しい限りだ。