※75話までのネタバレあり。
「お前と同じだよ。」
「ウォール・マリア奪還作戦」を成功裏に終え、海へたどり着いた調査兵団。4年の後、エレンは単独で海を渡り、マーレ帝国、レべリオ収容区へ潜入する。目的は、先制攻撃によるマーレ首脳部の指揮系統の攪乱による時間稼ぎと、ひそかに内通するジーク・イェーガーの亡命の手引きだ。
ジークをパラディ島へ導くことで、エレン擁する「始祖の巨人」。ジークの持つ「王家の血筋」が揃い、「地ならし」発動の条件がそろう。奇襲により稼いだ時間で「地ならし」の脅威を抑止力とした交渉で停戦を図る。それがエレン、そして彼の捨て身の交渉で戦線へ引きずり込まれた調査兵団の目的だった。
しかし、潜入したマーレ帝国内でエレンが目にしたのはただ「人間」だった。良い人も悪い人もいる。それぞれに苦しみを抱きながら懸命に今日を生きようとする素朴な人の営み。パラディ島に住まう自分たちを「悪魔の末裔」と見做し、憎悪を向けていたはずの人たちの「素朴な人間性」。
エレンは理解した。これがライナー達の目にした世界なのか。そうだ、一人一人向かい合って話し合えば、分かり合えないはずはない。同じ人間なのだから。しかしエレンはただ一人、「始祖の力」を抱え「憎悪に血塗られた歴史」更には「その先」を目の当たりにした。あらゆる因果を一身に背負うエレンに、もはや選択の余地はなかった。だから・・・。
「仕方なかったってやつだ。」
エレンの巨人化を開戦の合図として収容区を舞台とした戦いが始まる。これまでとは異なる市街地を舞台とした、知性の巨人が入り乱れる乱戦は壮絶を極める。
マーレ擁する最新鋭の対巨人兵器。パラディ島で独自進化を遂げた対人兵器。背景の異なる武器、異なる思想が交錯し、エレンとライナーの因縁が火花を散らす。
戦いの果て、当初の目的を果たした調査兵団。しかし、エレンの決断が振りまく憎悪は戦士候補生のガビを駆り立て、エレンのかけがえのない仲間、サシャの命を奪う。
レべリオ収容区を舞台とした戦いは、世界の命運を揺るがすターニングポイントであり、一つの憎悪が別の憎悪を呼び起こし、新たな悲劇を生むという社会の縮図だ。
レべリオ収容区のエルディア人はパラディ島のエルディア人を憎むように駆り立てられる。同じ民族的ルーツを持つ者達が、政治の都合で互いの憎悪を煽られるという悲劇は現実の歴史にもあったことだ。本作の社会風刺は更に鋭さを増し、重大なテーマを我々に突きつける。
しかし巧妙なのは、本作が描くのは「絶望」のみではない点。空白の4年に「希望」は宿る。
調査兵団と義勇兵との交流で、島の外の文化がもたらされる。外界との繋がりに基づく「憎悪」がある一方で、「文明の発展」と「新たな価値観の流入」という「希望」も描かれる両義性こそ、本シーズンの核心だ。
「希望」を信じるアルミン。「絶望」を見据えるエレン。かけがえのない友だった二人の断絶。去来するのは、かつての仲間、マルコの遺した言葉だ。
「僕たちは、まだ何も話し合っていないじゃないか。」
混迷の世界情勢、進むべき「道」はどこにあるのか。
