アンチャーテッド(2022)

 

※ネタバレなし。

 

本作は、大人気アクションアドベンチャーゲーム『アンチャーテッド』の初の実写映画化作品だ。

 

通常、他のメディアの映画化というのは、原作を忠実に再現するか、原作とは別物と割り切って制作されるものだが、本作は特殊な事例だ。

 

主役のネイトと相棒のサリーは、原作ゲームと異なり一回り程、若く設定されている。一方で服装やキャラクター性などゲームにあった要素は限定的に引き継がれる。言うなれば、「限定的な原作改変」。

 

このように書くとどっちつかずのように思われるかもしれないが、原作の魅力のツボを押さえた適切な取捨選択の末、再構築されたネイトとサリーはゲームに負けず劣らず魅力的だ。

 

ネイトは若くなったことで、ゲーム由来の「陽気」な性質に「可愛げ」というニュアンスが加わるし、サリーは元々あった「食わせ物」の印象に拍車がかかり「敵か味方か」物語にスリリングな要素をもたらした。

 

そして、中盤の飛行機からの脱出と、クライマックスの船上のバトルはゲームのシーンを忠実に再現しつつ、スケールアップしたスペクタクル。

 

原作ゲームに強いこだわりのある私だが、例え原作改変されても、ここまで有効に原作の要素を再構築されれば文句の言いようもない。形は違えど、原作ゲームと同質の興奮を味わえた。

 

本作は良い意味で、原作という「地図」に頼らない自立した作品なのだ。

 

だから、原作を知らない人にもオススメだ。本作は予備知識なしでも楽しめるうえ、ここ最近ではあまり見ない王道の冒険活劇として十分なクオリティを誇る作品だ。

 

近年のアクション映画は、エンターテインメントであってもリアリズムが重視されるものが多いが、本作は1980年代から1990年代ほどの作品、おおらかで「ロマン」溢れる雰囲気に満ちている。

 

莫大な財宝を巡る体当たりの争奪戦という『インディ・ジョーンズ』シリーズ的なシンプルながらロマンあるプロット。随所にちりばめられるユーモア。大予算を活用した豪華な撮影とセット。

 

近年あまり見られない豪華でシンプルなエンターテインメントに魅了されることだろう。

 

ただ、『インディ・ジョーンズ』と異なるのは、ネイトが気さくなイメージと裏腹に、抱えた孤独という背景から「人を信用しすぎない点」。頼れるインディですら2作目の冒頭では文字通り一杯食わされる場面もあったが、本作のネイトは年上のサリーや、トレジャーハンターとして経験あるクロエさえも駆け引きで手玉に取る。

 

人を容易に信じ切れない現代を反映したキャラクター性は、インディとは異なる本作の持ち味だろう。本作は冒険活劇と心理戦が入り乱れて展開されるのだ。すでに制作が進行している続編においては心理戦とネイトの抱える孤独を掘り下げることで、『インディ・ジョーンズ』とも原作ゲームとも異なる、映画『アンチャーテッド』シリーズの「独自性」という「秘宝」を獲得できるかもしれない。

 

「原作改変」を経て、映画シリーズの向かう先はまっさらな道となった。原作ゲームも完結した今、映画シリーズという新たな「地図なき世界の冒険」の行方が楽しみである。