流沙の南の、やなぎで囲まれた小さな泉で、私はいった麦粉を水にといて、昼の食事をしておりました。
宮沢賢治著「雁の童子」
こんにちは。
今回も気になった料理・食材を紹介してみたいと思います3回目となる今回は宮沢賢治の「雁の童子」から麦こがしを。
「雁の童子」は巡礼者の「私」が同じく巡礼者のおじいさんから、近隣で祀られている「雁の童子」にまつわる物語を聞く話です。冒頭で引用したのはプロローグの部分になり、「私」がおじいさんと出会うシーンになります。
ここで「私」が食べている、「いった麦粉」とは何でしょう。私は最初小麦粉かと思いました。麦粉なのだから小麦粉だろうと。小麦粉を水にといて生で食べているのかと思いました。でも「いった麦粉」なのだから生ではないですね。「私」が食べているのは、どうやらこれのようです。
麦こがし。別名はったい粉です。
地元では「麦こがし」と呼ばれていますが、奈良で見かけたときは「はったい粉」と書かれていました。
近くの業務用スーパーで売られていたものには、他にも「いり麦、おちらし、こばし、こんこ、こうせん」と書かれています。場所によって呼び名が異なるのかもしれません。材料は小麦ではなく大麦でした。
食べ方は簡単。器に入れてお湯を注ぎ、適当な硬さになるまで練るだけです。味はきな粉に似ています。砂糖を混ぜて食べましたが、黒蜜でも良さそうです。前回のそば粉もそうですが、水を含むとむくむく膨らむので、巡礼者にとっては持ち運びに便利な携帯食だったのでしょう。
ちなみにこの麦こがし、ゲーム「レイジング・ループ」にも「たっこ」という名前で登場、おやつになっています。