吉本ばななは私にとってずっと苦手な作家だった。
何度も挑戦するのだが、一度も読了できたことが無かった。
男と女が出てきて、とつとつと会話が進行していって・・
その特有のテンポにダルくなって、途中でギブアップしてしまう。
その繰り返しだった。
今回初めて読了できた『とかげ』と『ひとかげ』。
「とかげ」と呼ばれる女と精神科医の男。
二人は共通して暗い生い立ちを背負っていた。
二人は自然に愛し合うようになるのだが
その言葉のやりとりがいい。
どんなに苦しいことがあっても、生きてさえいれば・・
太陽の日差しを浴びることが出来る。
美味しいごはんだって食べられる。
楽しいことだってきっとたくさんあるよ。
そんな作者の柔らかい言葉が胸に染みた。
『ひとかげ』は『とかげ』のリメイク版。
ストーリーは同じなのだが、書き直している。
なので若干違う。
でもなんかすごくいいかんじ。
またちょっと違っていいかんじ。
同じ型のハイヒールなんだけど色違いみたいな。
絶望的な幼児体験をした暗い二人の闇と未来への希望が
『とかげ』では淡い濃淡で儚げに描かれているのだが
『ひとかげ』では油絵のように力強く鮮やかに、光を携えて描かれている。
思わず涙してしまった。
とても、いい本だと思う。