吉本ばなな『とかげ』『ひとかげ』 | "little magazine"

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架空の雑誌"little magazine"のライターとして、詩や自由奔放な散文を書いてます:)

吉本ばななは私にとってずっと苦手な作家だった。

何度も挑戦するのだが、一度も読了できたことが無かった。

男と女が出てきて、とつとつと会話が進行していって・・

その特有のテンポにダルくなって、途中でギブアップしてしまう。

その繰り返しだった。


今回初めて読了できた『とかげ』と『ひとかげ』。

「とかげ」と呼ばれる女と精神科医の男。

二人は共通して暗い生い立ちを背負っていた。

二人は自然に愛し合うようになるのだが

その言葉のやりとりがいい。

どんなに苦しいことがあっても、生きてさえいれば・・

太陽の日差しを浴びることが出来る。

美味しいごはんだって食べられる。

楽しいことだってきっとたくさんあるよ。

そんな作者の柔らかい言葉が胸に染みた。


『ひとかげ』は『とかげ』のリメイク版。

ストーリーは同じなのだが、書き直している。
なので若干違う。

でもなんかすごくいいかんじ。
またちょっと違っていいかんじ。

同じ型のハイヒールなんだけど色違いみたいな。


絶望的な幼児体験をした暗い二人の闇と未来への希望が

『とかげ』では淡い濃淡で儚げに描かれているのだが

『ひとかげ』では油絵のように力強く鮮やかに、光を携えて描かれている。


思わず涙してしまった。

とても、いい本だと思う。