混雑に取り紛れて、すっかり写真の撮影を忘れてましたが書棚を作りました。



狭い事務所ですからね、既製の本棚など置く場所がないので奥まったところの幅をめいっぱい使える吊りタイプの書棚です。
本はかなりの重量があります。
幅160センチ弱あるため、そのまま使うと棚板がたわむのはもちろん、折れる恐れさえあります。
そのため、中央に金具を取り付けて支えています。
金具の取り付け位置がアンバランスなのは、壁の裏側の間柱(壁のボードを支えるための木の柱)に合わせてあるからです。
その下が執務席です。

宅建業の免許取得にあたって、事務所要件というものがあります。
その一つに、応接テーブルと執務テーブルは別々の明記になっています。
大きな応接テーブルの向かい側半分を執務スペースにしたカウンター型の使い方を前提とした机でも、免許されることはあるみたいですが、基本的にはNGです。
カウンター型の場合、例えば一人暮らしのワンルーム賃貸専門の会社であるなど、1〜2人しか応接しない前提であることを面談でアピールして特別に認められたものと思います。
弊社は基本的には仲介(売買)が中心です。
その場合、売主と買主、宅建士の3名が当事者になるため、カウンター型だと厳しいという判断になるでしょう。
人生で4回、個人的な売買をしていますがその経験の中で究極の理想的な空間として、以下のレイアウトを考えた経緯があります。

まず、売主夫婦が2名。
売主にローンが残っている場合は銀行から派遣された司法書士1名。
買主夫婦が2名。
買主がローンを利用する場合は銀行から派遣された司法書士1名。
買主が売主の口座に頭金の振り込みが終わったことを確認したら、残代金の振り込みを支店に指示するために待機する買主側銀行員が1名。
頭金と銀行による残代金の合計金額(物件価格全額)の振込確認ができたら売買契約を完結させるために必要な抵当権抹消登記を行う。その依頼をするための売主側銀行員。
まず、夫婦はどちらか片方であることがよくある。
司法書士も売主側銀行・買主側銀行間で調整がなされて1つの司法書士法人に委託されることが多い。
現実的には中央のテーブルに6名が座り、執務席から引っ張り出してきた椅子を宅建士席に移動させて宅建事務を行うことになる。
売主・買主の一方が祖父や子を連れてくることも充分考えられるが、そこも考慮して12人程度は快適に過ごせる設計にしました。

この図の左端に置くテーブルを作ります。
事務もお仕事も、テーブルが広ければ広いほど能率が上がります。
でも、はみ出させると格好悪いばかりか、突き出た板材に小さな子が衝突して大怪我する危険があります。
やはりここも、自作でジャストフィットする机を用意することになります。

しかしながらやや困ったことになってしまいました。

机が位置する場所に水道が来ています。
なぜこんなところに蛇口があるのか。
きっと、解体を終えた後、後の入居者が工事する際に水が必要になることを考えて、工事用の仮設水道という形でここに蛇口を設けてくれたような気がします。
流し台などなくても、下にバケツを置けば快適に水道が使えるのでとても助かりました。
でも・・・

一般的に快適なテーブルの高さは70センチと言われていますので、これだと天板と干渉して机が設置できないのです。
そこで、

水が使えなくなって不便なのと、一工程増えることになりますが、泣く泣くノコギリで切ることにしました。

邪魔な水道管がなくなり、見事に天板が置けるようになりました。
壁に貼ってある黄色いテープは、天板の高さの目印です。

水が溢れてくると作業性が悪いのでスポイトで吸い取ります。

水道がないと不便なので、このままってわけにはいきません。
少なくとも切り口を塞がないと止水栓を開くことができないので、トイレにも行けません。
キャップだけつければ止水栓を開くことはできるけど、後でキャップを切り取って水道を新設するとなると、エンドキャップ(200円)が無駄になります。
買ったばかりの1.5リットルのコカコーラを一口も飲まずに便所に流すのと同じで、軌道に乗るまで年単位で時間がかかる事業を営む事務所で、こんな無駄なことをすることはできません。
そこで、最後の工程でやろうと思っていた水道工事を先にすることにしました。

移設する場所の長さを測って、新品の水道管をカットします。

給湯室に引き込むために、

水道管を貫通させるため、壁に穴を開けます。

見事に貫通しました。

エルボ(直角曲げの部材)を仮付けした状態で壁や建具と干渉しないかチェックします。

問題がなければ、これから水道管に連結させます。

さっき切りっぱなしにした管の外周と、エルボの内周にVP管専用接着剤を塗ります。

これは溶剤といって、塗ると管の樹脂を溶かす性質があります。
ドロドロになった材料どうしが同化することで癒着されるため、一体成形並みの強度が出ます。
ただし、見様見真似でやってはいけません。
ドロドロにしても良い深さが決められていて、それ以上溶かしてしまうと接着剤を塗っていない部分の強度が落ちて、少し力を加えただけで折損することがあります。
5階建てまでならポンプや屋上の貯水槽が要らないと言われている横浜市で、かつ飲食店が営める管径(一般家庭は13mm引き込みだが、ここに引き込まれているのは20mm)の屋内給水管の破裂など、考えただけでゾッとします。
それが共同住宅の2階以上だと大惨事になることは言うまでもありません。
最低でも1ヶ月程度の経験は必要です。(実はバイトでやっていたことがあります。)

無事、給湯室までの引き込みが完了しました。
天板の位置を示す黄色いテープよりも下にあります。
地面スレスレに引き回さなかった理由は、蹴って壊さないようにするためです。
天板スレスレの高さなら蹴って壊す心配はありません。

このまま止水栓を開けると給湯室がビショビショになるのと、水が使えなくて不便なので、給湯室内の工事も行います。
この当時は、どのような流しにするか考えていなかったので、取り敢えず適当な場所に水栓をつけて水が使える状態にします。

水栓は、切り取ったやつを再利用します。

給水栓を反時計回りに回すとパイプから外すことができます。
給水栓についている白いものは、防水用に巻き付けてあるテープ(シールテープ)です。
テープなので、端をつまんでグルグル回せば取れそうな気がするかもしれませんが、そんなことで取れてしまうようでは防水できません。
癒着して固体のパッキンみたいになっています。

カッターで刻んでやっと取ることができました。
新しいテープを用意して貼りなおします。

また貼るならさっきのまま取り付ければいいじゃないかと思うけど、一度でも外したらシールテープは再利用できません。
それどころか、パイプに取り付ける際に僅かでも反時計回りに水栓を回したら貼り直しです。

シールテープは、時計回りに巻き付けなければなりません。
逆に巻くと、パイプに取り付けた時にテープの層や表面を傷めて防水性能が低下します。

テープが巻けたら、パイプに取り付けます。

これで完成です。
水の出るところが壁に当たって邪魔になるようなら、一旦取り外します。
それから、水栓をねじ込む際に回しすぎてもうこれ以上回すことができないのに、蛇口が真下を向かないことがあります。
この場合は、あきらめてテープを巻くところからやり直します。

こんな感じで、水道の仮設工事は完了です。

天板を支えるための木材を壁に取り付けます。
壁にピッタリ付けてしまうのであれば、机に脚をつける必要はありません。

天板を取り付ければ、一応は事務で使える状態になります。

だいぶ事務所らしくなってきました。

机が完成してから数日の差で、宅建士証が届きました。
事務所はまだまだ未完成だが、執務机が完成した段階で、営業免許申請のための条件が整ったことになります。
実は、これは偶然ではありません。
元々、こんなスケジュールを作って動いていました。

のんびり工事していると開業時期が遅れるし、かといって必要以上にハイペースで工事すればエレクトロニクス系の営業事故(納期遅れや品質事故)、機会損失の原因となる。
バランスの取れたペースで進める必要があるため、計画的にこの時期に申請要件を満たす内容の工事が終わるようにスケジュールしていました。

申請書類は、このような雛形で写真を貼り付けるページがあります。

これに、



こんな感じで店内の資料を添付します。
無免許工事の指摘が入って交付が遅れるといやなので、電気工事士の免状も一緒に撮影しています。
少しでも早く営業免許が欲しいので、宅建士証を受け取った瞬間にタクシーに飛び乗って役所に向かいました。
そのため、申請書も、添付する写真用紙も予めかなり前から用意していました。
特に申請書(写真台紙を除いた書き物系のページ)だけでも20ページ前後あるため、去年の12月から少しづつ作っていました。

無事、受理されました。
宅建士証の交付日の記載が3月11日で営業免許申請書の受理が12日。
郵送に1日かかることを考慮すると本当に受け取った瞬間に役所にダッシュということになります。
手続きは、面談のような形で行い、係の方が1ページ毎にしっかりと確認します。
間違いがあればその場で修正の指示を促され、問題なければ全ページのコピーを取って受領印が押されて終了です。
書類は大丈夫だったのですが、一点指摘が入り面談が滞った場面がありました。
私はセキュリティ上の都合で、実際に住んでいる場所を住民登録していません。
産業スパイなどが身分を偽って戸籍の附票を取得すれば、知財流出はもちろん、財産や命まで狙われる危険があります。
そのため、自宅住所は神奈川区七島町の本店所在地と同じにしてあるのですが、ワンルームの事務所なので生活できるわけがありません。
もしその部分で指摘が入ったら、免許手続きに遅れが生じることになるので、念のため自宅の登記簿謄本(ネットで取れる登記記録ではなく、わざわざ法務局で原本を取ってきました。)と過去一年分の公共料金の検針票、宅建の合格証書が送られてきた時の封筒のコピーを添付して別の場所に自宅があると説明したのですが、あまりないケースなのでこれが良いのかどうかの確認で待たされました。
もしダメだったらワンルームアパートでも借りるしかないか・・・。
そうすると固定費が増えるし、契約から居住開始まで1ヶ月弱かかるため手続きが遅れることになる。
手続きを急ぐなら現住所に住民登録するのもやむなしだけど、機密文書を直ちに移動させると同時に自宅の買い替えを考えなければならなくなる。
十数分待ったところ、「住民登録住所と異なる場所に住んでいる理由:防犯上の都合によるもの。」という一文を書くことで受理されました。
家族の介護や子どもの学区などの家庭の理由で時々あるケースだそうです。
審査には1ヶ月程度かかるそうで、その間、問題人物でないかなどを中心に審査されるとのことでした。
事務所写真は角度を変えながら屋内・屋外共に計2、30枚程度撮影しましたが、そこも指摘はなかったため、これでひとまず安心です。
デスクの工事を終えたのが3月7日でしたので、工事がボトルネックになって申請が遅れるといったこともなく、一方で工事に工数を取られすぎて本業で機会損を出すこともなく、良い塩梅で準備を終えたことになります。
ひとまず安心です。

ここから先は、ある程度マイペースで進めていくことができます。
次に、机の引出しを設けたいと思います。
引き出しは、1個1個作ってると日が暮れてしまうので、アイリスオーヤマの12段プラスチックラックを買って、フレームは使わず引き出しの部分だけ使います。
引き出しを収納するための棚板を作ります。

側板に、ダボを打つための穴を等間隔に開けていきます。

側板を元に戻し、ダボを取り付けます。

棚板にも穴を開けて、ダボに棚板を取り付けます。

棚板全ての取り付けが終わったら、左側の板を取り付けます。
右側だけでは支えられないので、左側の板も同じようにダボを打ち込みます。

この記事を書いているいま、事務所にいなくてこんな写真しかない(忘れなければどこかのタイミングで撮影して差し替えます)のですが、こんな感じで2列、棚を設けました。

これで、種類が多岐に及ぶ事務書類や、文具などの収納できるようになりました。
あと一息です。