今回は、照明の移設をします。

よく見ると、奥の照明が天井から大きく浮いてしまっているように見えます。

前入居者さんの退去に伴って解体する時、照明をつけたまま無理にクロスを引っ張ってこうなったのかな?と思ってたんですが、家で丸洗いをするために天井から取り外した時、理由がわかりました。
まず最初に、浮きが少ない方の天井裏を見てみます。

蛍光灯なので、軽そうに見えてそこそこ重量があるのですが、それを天井板で支えるのは無理があるため、天スラブにアンカーボルトを打って灯具の重量を支える仕組みになっています。
次に、大きく浮いてる方の天井裏を見てみます。

別の目的のために撮影した写真なので、余計なものが写っていますが、
なんと、中心部に換気ダクトが通っています。
写真に残していなかったのですが、屋内配線で使用するVVFケーブルで換気ダクトに結びつけて灯具を固定していました。
換気ダクトは非常に薄い金属ですので、灯具を支えるほどの堅牢性はありません。
これでは灯具が下がってきて当たり前です。
紐が写っている理由は、アンカーボルトを打つべき中心点のアタリをつけるためですが、ダクトに思いっきり被っていて、避けようがありません。
天井の穴を塞いで、新型の照明に変えようかと少し迷いましたが、余計なお金は使いたくないので、なんとか再利用する方法を考えて、照明を少しずらして移設することにしました。

照明は、部屋のちょうど中央に2つ並べて設置されているのですが、テーブルの位置を考慮すると、やや壁に寄っていた方が快適な事務ができるはずです。
天井裏を確認したところ、15センチだけ壁に寄せれば天スラブから障害物と干渉せずにアンカーボルトを出せることが判明しました。

新しい照明の位置をマスキングテープでマーキングします。

右側に縦に貼ったマスキングテープの位置が、新たな照明の位置となります。
そのため、このテープより右側の部分の空洞を埋めなければなりません。

そこで、左側のボードを15センチ切り取り、それを右側に貼り付けます。
コンセントの穴を埋めるとき同様、板の裏側に木製のタブをビスで固定し、それを天井に引っ掛けて天井板と固定します。
木工用接着剤を併用すると、より強固(切らずに使った時と同一の強度)になります。
新たな穴の対角線をマスキングテープで結んで、照明を支えるために取り付けるアンカーボルトの位置決めをします。
無事、換気ダクトと干渉しない位置に移設できたことが確認できます。

アンカーボルトを設置するとき、コンクリート側にメス側のネジを埋め込む必要があります。
このネジをカールプラグといいます。
カールプラグを打ち込むとき、指定した長さと径の穴をコンクリートに打ち込む必要があります。
コンクリートには、市販の普通のドリルでは穴を開けることはできません。
ハンマードリルという工具を使います。
よく建設現場で使用されているドドドドという派手な音を出しながらコンクリートを粉砕して穴を開けるやつです。
換気ダクトと干渉する方と別の方のカットになりますが、ハンマードリルで穴を開けます。
カールプラグの耐荷重は、設置する器具の重量の8倍が目安です。
この照明は7キログラムですので、最低でも56キログラムのプラグを使用します。

無事、15センチ隣に穴を開けることができました。

穴にプラグを差し込みます。
ある程度の深さまで入ると、後は手で押し込むことはできなくなりますので、ハンマーで叩いて埋め込みます。

プラグの埋め込みが終わったら、アンカーボルトをねじ込みます。
普通のネジ同様、時計回りに回転させることで中に入っていきます。

天井板の継ぎ接ぎをした場所は、使わないコンセントの穴を埋める方法でご紹介したのと同じ方法(段差や隙間をボードパテで埋めて、仕上げにサンダーで平らに均す)で下地の調整をします。
これで、照明の移設は完了です。
事務所の中が暗くて作業性が悪いので少しでも早く照明をつけたいんですが、天井全体の下地調整とクロス貼りをするまで我慢しないと、結局後で取り外すことになり、二度手間になります。
そのためひとまず我慢です。(でも、夜の作業が多くなれば付けるかもしれません。)
照明は、自宅に持ち帰って電気部分を丁寧に取り外して灯具は浴室でお湯と洗剤で丸洗い、電気部分はオーバーホールします。
次にここに戻ってくる時は、新品同様になっているはずです。