無事、エアコンがついて作業しやすくなったので本格的に工事を始めます。
四方六方がボロボロの材料で囲まれているので、少しでも早くきれいにしたいところですが、まずは設備工事をしなければなりません。
内装を先にやってしまうと、後からコンセントが欲しくなった時に露出配線で引いたり、延長コードを使うことになるため、見た目が悪くなります。
工事は基本、午後からやります。
・・・というのも、私は朝4時に起きて5時頃からはお仕事を始めています。
そうすると、昼頃になると眠くなります。
普段は、ここで少し昼寝をして午後から引き続きデスクワークを始めるのですが、工事が済むまでの間は眠気覚ましに体を動かします。
お仕事はとても楽しいですが、いくら好きでも疲れれば眠くなります。
子どもの頃、試験が近くて夜遅くまで勉強していて眠くなったときがあって、でもどうしても勉強を続行したかったので眠気覚ましにドラクエを始めたんだけど、それでも目が覚めなくてそのまま眠ってしまい、試験前に何してるんだ!と親に叱られたことがあります。
勉強の眠気覚ましときちんと弁明したんだけど、どうみても徹夜でドラクエやってて寝落ちしたようにしか見えませんね。
というわけで、決してお仕事が眠くなるほど退屈というわけではないのでご安心ください。

最低限のデスクワークができるように、仮設の机と椅子を買ってきました。
一時的な使用で捨ててしまうのもったいないな、と思ったんだけど、よく考えてみたら不動産屋さんって現地にテーブルを置いて客待ちしてることあると思うんだけど、その時に使えそうですね。
脚立の上に荷物が置いてあるのは、床に置くと埃で真っ白になるからです。
前の入居者が退去に伴って床のタイルを剥がした時、タイルの下にあるモルタルやレベラーまではつったようで、非常に細かいセメントの粉で一面覆われているのです。
イメージとしては、チョークの粉と考えてもらったも言い過ぎではないと思います。

では早速、電気から見ていきましょう。




なんか壁(ボード)がボコボコだし、コンセントが無意味に引き出されていたり、器具に化粧プレートがなかったり、力任せに解体していったような感じがします。
例えば、壁の中にあって見えない電線の接合部が引っ張られることで、絶縁に使用しているビニールテープが裂けて外れてしまったり、電線自体が折れかかっているような場合、そのまま使用すると事故の原因となります。
ちょっと怖いので、電線を引き直そうと思います。

早速、電線を買ってきました。
間違っても、家庭の延長コードで使われているような普通のビニール電線なんか使ってはいけません。
VVFという単線のコードを使うわけですが、

それ以前に、有資格者でなければ違法工事になってしまいます。
無資格工事で火災を起こすと保険金が降りないので注意です。
有資格者であればどのような材料を使わなければならないか当然知っているはずです。
第二種電気工事士の免許は、生活でもとても役立ちます。
例えば、部屋の模様替えをした時、ここにコンセントがあればいいのにな・・・と思うことがあると思います。
そんな時、泣く泣く床にコードを這わせて電源を確保すると思うのですが、コレがあれば家具の真裏にコンセントを設けることができます。
キッチン家電が増えて、度々キッチンだけ停電するようになっても、自分でブレーカーから新しく電線を引っ張ってコンセントを追加することもできます。
我が家はキッチンに100V(20A)×2系統、200V(20A)が1系統、200V(30A=将来IH調理器を使いたくなったら使用)を1系統敷設しています。
宅建などは最新の法令を知っていないと不利になるため、受験年度の教材で勉強するのが基本ですが、電気は時代や社会トレンドを踏まえて流れ方が変わるなんてことはあり得ないので、古本屋で買って安く済ませることもできます。



ぜひお勧めします。
ということで、話題を元に戻しましょう。

点検口はもちろん、大型の照明も一度取り外して天井裏を総点検して、ダメージを受けていそうな電線や、解体やさんが切りっぱなしで放置している電線などがないか確認します。
天井裏で作業をする前に、一つやっておくことがあります。

害虫対策です。
点検口から顔を出した途端、寒さを凌いでいたGファミリーが一斉に顔を目掛けて飛んできて脚立から落ちて大怪我・・・なんてことがあるかもしれません。
これは極端な例ですが、きたないところで作業をした後、指の先がなぜか火照ったようになってやけに痒く、浮腫んでいるような感じがする時があります。
きっと、目に見えない蜘蛛かダニに噛まれたかなんかだと思うけど、虫がいる場所での作業はあまり良くありません。
バルサンで一掃します。

天井裏と壁の取り合い部の辺りがステープルで固定してあったおかげで、天井裏はほぼノーダメージで、天井裏から壁に伸びる電線の一部の交換で充分と判明しました。
この点検をするまで、怖くて一部のブレーカーしか上げることができなかったのですが、これで全部ONにできます。
事務所の完成予想図は、このような感じになるのですが、

この図の上に位置する壁(免許証とかディスプレイとか書いてある壁)が、

この壁なんですが、コンセントがちょっと多すぎてうるさい感じがします。
ブルーシートの裏にも1つあります。
こんなに要らないので、取り外したいと思います。

必ずブレーカーを落としてから器具(コンセント)を取り外します。
※通電中の回路の配線器具を外したらいけないというルールはないので、私は通電したまま作業しています。本職の工事屋さんもそうしていますが念のため。
白線と黒線をひとまとめにビニールテープ巻いてるけど大丈夫なの?と思うと思いますが、実は白線と黒線の切る位置を1センチずらして、黒線を先に巻いてから白黒をひとまとめにしているので水を被ったとしても短絡(ショート)は起こり得ません。
ひとまとめにすることで、他の場所でコンセントが必要になった時に、天井裏から引き抜きやすくなるので、私はそうしています。

次に、コンセントがなくなって残ってしまった穴をどうにかしていきます。
まずは、自作の秘密兵器です。

これをどう使うかというと、

まず板のまんなかにフックを取り付けて、


板を穴の中に押し込み、耳の部分が壁のボードの裏に潜り込むようにして手で固定します。
その状態で、

ビスで固定します。

フックを取り外すと、とりあえず穴は塞がりました。
でも段差があるので、

壁用パテを練り込んで、

サンダーで削ると平らな下地になります。
これを不要となるコンセント全てにやっていきます。

次に照明です。

解体時に、天井クロスを力任せに引っ張ったせいか照明と天井の間にも大きな隙間があります。
また、全体的に黒ずんでいて見栄えが悪いので、さっきのコンセントと同じようなやり方で照明を取り外して穴を埋めようと考えました。
でも、あきらめました。
遡ること4ヶ月前、この事務所を借りた理由は自宅だと宅建業の事務所要件を満たさないためです。
つまり、宅建のために借りた事務所ということは、芽が出るまで収益を生み出さない場所ということになる。
商売でやってはいけないことの1つは「売り急ぎ」だと思う。
商売を始めると、業種を問わず急速に糧を失っていきます。
弊社は、モノづくりとエレクトロニクスという強力な軸があるため、この事務所を借りても事業インパクトは薄いが、特にこれまでが会社員だった場合、少なくとも手取り給与分の蓄えを作るのに数ヶ月要するのに、その8割が毎月消えていき、事務所を借りた、什器を買った、宅建協会に加入した(分担金込みで200万円近くかかります)など、日常のありふれた支出が手取り給与の数ヶ月分といった単位で出ていきます。
このような状況下にあって多くの人は、1日でも早く稼ぎたいあまり、頻繁に広告を売ったり、商談にこぎつけるためのアポイント鬼電を掛けたりすると思います。
また、その多くは糧を失う恐怖から視野が狭く、お客さんの期待や真意を捉えていなかったりします。
そんなことをしているうちに信用を失い、受注を遠ざけることになるのです。
これは私の持論ですが、「新しいことを始めている今を楽しむ」ことが大事だと思っています。
営業活動は、「糧を得たい時」に始めるのではなく、「始めたくなった時」に始めるのです。
その「始めたくなった時」の動機としては、当初、自己満足にとどまっていた創業動機となるものが、自分の活動を通じて人様に届けたい、役に立ちたい、幸せにしたい、幸せを発信したいと感じた時や、面白いことが思いついたので発信したいなどと考えた時です。
これらをしようとしたら、必ず誰かに接触することになります。
その時に踏み出す一歩が「営業開始」の日だと思います。
それまでは、何があっても焦らないことです。
とはいえお金がなければ生きていけないのも事実。
少なくとも5年程度は生活保護水準まで生活レベルを落とし、その間食いつなぐための現金は準備する必要があります。
貯金だけで厳しければ、週3日程度はバイトしてもいいかもしれません。
起業したらバイトなどはせず全力投球すべきとの考え方もあり、現代ではむしろこちらの方が普通かもしれませんが、「普通の起業家」と言われる方々はが3年後に生き残っている確率は1割程度で、ほとんどが廃業して会社員に戻っています。
私は今年10年目・・・しかも軌道に乗せるまで、資金調達は行わず全額自己資金。
これが端的な事実です。
どちらを信じるか・・信じるというよりはどちらが向いているかで慎重に判断することをお勧めします。

話が逸れましたが、このような理由から、あと2、3年程度は食べていけるほどこの事務所が稼いでくれるとは考えていません。

本音を言えば、天井はフラットにして、四隅とショーウインドウ側の壁に小型のダウンライトを付けて、商談テーブルの上にライティングダクトを付けて・・・みたいな感じで洒落っ気のある意匠にしたいです。
でも、ここで稼ぐことができない以上、このような贅沢に出費をすることは厳禁です。

さっき書いた通り、事務所を借りた理由は宅建業の要件を満たすためです。
そこに、「照明が綺麗であること」なんてことは1つも書いてません。
極論を言えば、このズタボロの内装のまま、
・折りたたみ長机1つ(5,000円)
・電話とFAX(リサイクルショップで8,000円)
 →電話番号を分ける必要はないが、私は分けました。
・事務用テーブル(リサイクルショップで2,000円)
これだけ置けば、免許申請をすることは可能です。

ですので、初心に立ち返ってお客様に不快な思いを抱かせないために必要な最低限の内容にとどめたいと思います。
そのため、使い古した時代遅れのデザインの照明たちは、自宅に持ち帰って、電気系統だけ丁寧に取り外して、ピカピカになるまでお風呂場で洗って再利用することにしました。

次に電話(インターネット)です。

電話(インターネット)の契約をしたら、電話局の人が来てこんな感じで工事してくれたんですが、

この図で示すところの買主席のすぐ真横くらいにあって邪魔なのと引っ掛けて怪我させたりしたらいけないので、移動することにします。
普通なら、配線モールなどを使って事務机の辺りまで配線を引き回して移動させるんだと思うけど、配線モールもそこそこ目立つため、壁の裏を回して、天井裏に設置しようと思います。
ワンルームですので、少しでも執務スペースに物を置かずに済むようにしたいと思います。

まず、点検口を開けます。

壁から出ている光ケーブルの端子から点検口に至るルート全ての照明を取り外します。

適当な紐に錘(おもり)となるものを結びつけて、ダウンライトを外した穴に向かって錘を投げるか、長い棒のような物を使って紐を渡します。

このようにします。

ダウンライトの穴から紐が出ていると思います。

さらに隣の穴に向かって錘を投げて、光コンセント直上のダウンライトを外した穴から紐を取り出します。
いよいよこの穴に腕を深く突っ込んで壁の裏に紐を落とせば開通という時に、工事を阻む問題が発覚しました。

壁と床の取り合い部に鉄筋コンクリートの梁が迫り出しており、さらに天井ボードを支えるための下地がギリギリまで突き出ていて、紐を落とす隙間がありません。
電線のようなものだけは1本通っていますが、これは天井の下地工事をする前からあるものです。
錘を小さいものにして、紐を釣り糸のようなものに変更すれば隙間から落とせないこともないと思うんですが、仮にそれができても光ケーブルを引き上げる場合、

この部分が引っかかって引き上げることができないはずです。
コンセントやモジュラージャック、LANケーブルであれば先端を切り落としてつなげ直すことができるのですが、光はノウハウがなく、なす術がありません。
そこで、


室内側から壁と天井の取り合いの部分を周り縁ごと削ぎ落とす強硬手段で紐を通しました。

紐を取り出すため、光コンセントを外します。

コンセントを外すと無事、引き上げ用の紐にアクセスできました。

光ケーブルを引き上げる時に取り付け枠が邪魔になるので外します。

光ケーブルの長さが足りないことが発覚したので、amazonで買いました。
工事は明日までお預けです。

ケーブルが届いたので、工事再開です。

通線用の紐に光ケーブルをテープで巻いて固定します。
※光ケーブルの芯線はガラスですので、結んではいけません。急な曲げ応力を加えると芯線が断線します。

引き上げ中に絡まってケーブルに無理な力が加わったり、作業性を損ねないようにするため充分に伸ばします。

まずは、天井の取り合い部からケーブルを引き出します。
いきなり点検口から引き上げようとすると、壁や天井内の支持物や設備類に引っかかって抜けなくなる恐れがあります。

天井から充分にコードを引き出したら、点検口からコードを引き出します。

無事、通線できました。

元々、光コンセントがついていた場所はこんな感じです。
リフォーム完了時は、これらは壁の裏に押し込んで蓋をするので、ここからネットを引いてるとは誰も思わないくらいの仕上がりになります。

最後に、電源の工事です。
光ファイバーだけ来ていても、電源がなければ機器が動きません。
天井裏から電源線(スイッチ用回路ではない電源用の線)を探します。
必ずブレーカーを落としてから、ニッパーで切断します。

切断したコードどうしをコンセントで橋渡しするように接続します。

これで、天井裏に電源が確保できました。

無事、天井裏に機器の設置ができました。
我が家はどこに引っ越しても必ずインターネットの機器は天井裏に置いています。
あれって結構邪魔だしコードがジャングルのようになっているから掃除とか大変なんですよね。
それから、WiFiが高い場所にあると、マンションでも電波の通りが悪くならず快適に使うことができます。

こちらは実際にはもっと後(クロスを貼る直前あたり)の工程になるんですが、光ケーブルを通すために削ぎ落としてしまった天井と壁の取り合い部分の復元をしていきます。

この部分です。
その後、ここまで掘ることになりました。

下地のボードは天井・壁両方に穴があいてしまい、木でできた周り縁まで削り落としています。
これをどうやって修すのか見当もつかないでしょう。
天井と壁は、先ほど紹介した使わないコンセントを穴埋めするのと同じやり方で綺麗にできるとして、周り縁はどうしよう。
そこで、便利な道具があります。

ウッドパテです。
木と樹脂が混ぜられたようなパテで、硬化すると木と同じような性質になるものです。
これで周り縁の復元をします。

パッケージを開けると、中に2つの容器が入っています。
この写真ではわかりにくいかもしれませんが、写真の上の方にある4つの丸いやつは外蓋と中蓋が2容器分ある感じで、パテ本体は下に映る2つの容器に入っている粉っぽいものです。
写真では粉のように見えますが、実際には練り物です。

この説明書の通り、2つの容器に入っているものを混ぜて練り合わせます。
エマルジョン系のパテです。
色味が均一になるまで練り込んだら、周り縁に押し込みます。

重くて垂れ下がってくるため、養生テープで押さえ込みます。
この程度の長さであればテープで充分ですが、もっと長い場合テープでは支えきれなくなるため、木の棒を当てて壁にビス止めする必要があります。
これでも真ん中あたりはやや膨らんでしまっています。

硬化したらサンダーで表面を削って平らにします。
これで周り縁の修復は完成しました。
材料が余ったので、ついでに天井にも練り込みました。
天井は本来、壁パテを使うところなのですが重くて落ちてきてしまいます。(メッシュに練り込めば落ちてきません。)
その点、ウッドパテは硬いので作業しやすかったです。
上からペンキを塗れば、どこを削ったのかわからないくらい綺麗に仕上がります。
壁は、使わなくなったコンセントを埋めるのと同じ方法で修復して完成です。