今回は、給湯室を作っていきます。
実はこれまで、トイレの水で手を洗い、インスタントコーヒーを沸かして飲んでいました。
※当たり前ですが、便器の中の水ではありません。手洗いのところから出てくる水です。
手洗いの水は、上水管直結(タンクに溜めた水が手洗いから出てくるのではなく、上水管が手洗いのカランに直結されてて手洗いシンクに溢れた水をタンクに溜める構造です)とわかってはいても、それでコーヒーを沸かして飲むのはあまり気分が良くないです。
弊社はお客様に出す飲料は衛生上の観点で缶入りドリンクにするつもりですが、「ちょっと待っててくださいね。」なんて言いながらトイレで水を汲んでコーヒーを沸かして出されたら、そんな店、二度と行かないと思います。

店舗の改装工事は手が汚れることばかりなので、頻繁に手を洗うことになります。
12月から初めて、1年で一番寒い時期に工事をしていたのですが、水が冷たくてとてもしんどかったです。
これから行う工事は、自分しか使わない場所であることと、バックルーム感を出したいという理由で、ボロさをデザインとして活かすことにしたのですが、当初は壁紙を貼ってからこれから行う工事をするつもりでした。
現況のまま使うなら、何よりも先にやればよかったと後悔しました。

では、早速やっていこうと思います。
まず、電気のスイッチとコンセントがボロボロなので交換します。


パナソニック(旧・ナショナル)の新品のコンセントとスイッチを用意します。


器具本体を取り付け枠に取り付け、フロントに取り付けるプレートをねじ止めします。
完成させるとこんな感じで馴染みのあるコンセントになります。

これの取り付けは有資格者でなければいけませんが、

有資格者です。
工事中は身辺帯同していなければなりません。
これを、必要なだけ準備します。

いい感じになりました。


次に、流し台を作ります。
大層なものと思うかもしれませんが、たいしたことはありません。
シンクはインターネット通販で3000円くらいから売ってます。

こんな感じで届きます。
タイルカーペットの一辺が50cmなので、やや小さなものとなりますが、

取り付けスペースに制限があるので、これにしました。
せめて右上の柱型の切り欠きがなければそこそこ大きなシンクにできたんだろうけど、あるだけありがたいです。
早速、カットする線を板に書きます。


水栓も買いました。

シンクが小さいので、一般的な水栓だと前に大きく迫り出すため、正面ど真ん中に取り付けるとかなり使い勝手が悪くなりそうです。
そこで、斜めにつけます。
使い勝手が良さそうか、何かが干渉しないかを慎重に確認します。

位置を決定させ、穴を開けます。

水栓をつけるための穴は右上です。
それ以外の2つは、直線切りするための穴です。
ここにノコギリを差し込んで、

このように切ります。

この板を固定するためのガイドを壁に取り付けます。
板には、カッティングシートを貼って簡易防水にします。

こんな感じです。

システムキッチンの天板っぽくしようと思ってこの柄にしたんですが、昭和のラブホみたいになってしまいました。
大理石(樹脂でできた人工大理石も含む)って、模様はこんな感じだけど、もっと薄めの色ですよね。
これなら普通のオフホワイトでよかったなと思いましたが、自分しか使わないので意匠性は気にしてません。

スイッチやコンセントのデザインが昭和なので相性いいかもしれません。
ちなみに、弊社ではオーダーメイドのキッチン天板もご用意できます。
ここで紹介した方法ではなく、人工大理石(樹脂)や、ニス塗りの木材など既製品と同等の材質の板をキッチンメーカーに作ってもらうお仕事も承ることができます。

では、早速きちんとおさまるか現物あわせして確認します。

なんと、右上の切り欠きの縦の長さと横の長さを逆に切ってしまいました。
もちろん納まりません。

干渉する木を切り取って、逆側の辺に貼り付けて応急処置をします。
※良く見るとカット線が入っていると思います。
切りはりした後は、余ったカッティングシートを貼れば切り貼りした跡が目立たなくなります。
サイズ違いが発覚した瞬間、作り直しを考えましたが、自分しか使わないこともあり、廃棄処分の手間を考えて再利用することにしました。
こうした作業で出るゴミも事業ゴミですので、ある程度倉庫に貯めてから高い費用を支払って業者に持って行ってもらう必要があります。
商売で出したゴミは、筆一本、帳面一冊たりとも普通ゴミに出してはいけません。
出したら捕まります。
ということで、ゴミ出しは高くつくのであまりゴミを出したくないのです。

角を継ぎ接ぎして無事に納まることを確認したので、取り付けに入ります。
まず、仮設した水道管が邪魔なので、切り取ります。

根本の部分から切り取ります。

上半分の部分は、エルボだけ無駄になりますが、直管を延長する部材で継いで再利用します。

これで水道管が干渉することは無くなったので、洗面台を取り付けます。

きちんと納まりました。
シンクを洗面台に納めます。
こちらもいい感じに収まりました。

次に、水栓を取り付けます。
最初、右端に計画していたのですが、切り欠きと干渉するため左側に移動しました。

水栓を取り付ける台座を取り付けます。

水栓のホースを納めます。
正面の固定ビスを締め付ければ完成です。

次に、シンクに付属していた排水口を取り付けます。

ここはもともと、洗濯機置き場だったようで、床に排水口が設置されていましたので、排水ホースを差し込みます。

これで、洗面台は完成です。
洗面台の切り口が丸見えなのは気にしないでください。

次に、給水管と給水栓を接続して水が出るようにします。
これが終われば、トイレの手洗いの水でコーヒーを沸かす必要もなくなるので、ワクワクしています。

この金具で給水管と水栓を中継すれば水が出るのですが、ここで敢えて遠回りの選択をします。
折角なので、お湯が出るようにしたいと思います。
トイレの手洗いから出る冷たい水で手を洗うのも、雑巾を絞るのも、すっかり慣れてしまいました。
たった数時間をケチって後で後悔したくありません。

水だけつないで、お湯だけつながなければいいんでは?
と思いがちですが、水栓のレバーを中間位置にした時、当然水栓を介して給湯ホースから水が出てくる可能性があるし、中間位置にしなくても、給湯ホースが無圧で給水側だけ圧力がかかっていれば、レバーが自然に動いて給湯管から水が出てくる危険もあります。
現実的には逆止弁が入っているだろうが、もしそうでない場合、結局は給湯工事をすることになります。
それから、ここで採用する給湯器は、

このようなタイプの電気温水器を使おうと思っています。
オフィスの給湯室でよく見かけるやつです。
シャワーや入浴のような大量にお湯を使うならともかく、手洗い程度でガス給湯器を入れるのはやや大袈裟ですね。
この給湯器、給水管から出てきた水を一旦ここにつないで、この給湯器を介して給水栓につながなければならないので、先に水だけつないで、後でやり直すというのは時間的にも金銭的にも大きな無駄が出ます。
そのため、一気にやることにしました。

前に別荘(南房総)で使っていたやつをこっちに持ってきたので、多少の部材やフレキ管は最初からついています。
そのため、足りないものだけインターネット通販で買います。
ちなみに南房総の別荘は去年、こっち(横浜)に家を買い直した時に頭金(500万円)を払ってちょっと財布が寂しくなったので、一旦は売る決意をして家を空っぽにしたのですが、忙しく働いているうちに残高が元に戻っていたので、売るのをやめました。
あと、大学に行こうと思っていたんだけど大学落ちたので学費の心配がなくなったというのもあります。
かなり気に入っているので泣く泣く手放す決意をしたんですが、その時、これは手放してはいけない物件だったんだと改めて気付かされました。
とはいえ、2〜3年かけて育てていかなければならない事業(宅建業)を抱えたままで別荘なんて贅沢にも程があります。
悩んだ結果、【別荘シェアリングサービス】を始めることにしました。
例えば権利金100万円、管理費年額20万円を払えば年間30日間、使うことができます。
弊社オリジナル開発の入退館システム(IDカードをかざすとログが残って鍵が開くシステム)を使うことで、誰も予約が入っていない隙間時間のみ、一泊いくらで利用することもできる柔軟性の高い仕組みです。
これがあれば、お金の問題を解決しながら愛着のある別荘を手放さなくて済みます。
そのため、南房総の洗面所用にまた温水器を買って取り付けなければなりません。
最初からこうなることがわかってれば、事務所用に新品を買ってつけるだけなので楽だったんですけどね・・・。
この温水器、数台買おうと思います。
というのは、ガス給湯器を使ってキッチンや洗面所でお湯を使う時、給湯器本体から距離があるとあったかいお湯がすぐに出てきません。
手を洗う程度だったら、手を洗い終える瞬間くらいにやっとお湯が出てくるので意味がなかったりします。
加えて、短時間での点火・消火は熱衝撃が大きく、給湯器の寿命に影響します。
給湯器から出てくるお湯を飲用にすることはまずないはずですので、キッチンと洗面所はこれにしようかなと思います。
電気とガス、2種類の給湯手段があるのは防災的にも心強いです。

話がそれましたが、材料が届いたら早速工事の続きをします。

水漏れがないか確認しながら水栓を開け、給湯器の電源を入れます。
待つこと数時間・・・

見事にお湯が出ました。
画面で伝わらないのが残念ですが、大きな感動に包まれました。
普通の家に住んでいるとお湯が出るなんて当たり前なんだけど、その当たり前が今日ほどかけがえのないものであると気付かされたのはかなり久しいです。
12月からリフォームを始めて、冷たい水で雑巾を絞ったり手を洗ったりしていたので、本当にありがたいです。

折角なので、電源を洗面所の下に設置します。
今のまま延長コードで引きまわしてもいいんだけど、たぶんそのままになりそうなので、あと一歩だけ頑張ってみます。

洗面台の真上にあるこのコンセントから壁の中を通して、約1メートル下の給湯器の近くまで引き回します。

プレートを外し、器具を取り出します。
ここはしっかりとスイッチプレートに取り付けてあるので、ケーブルを下に下ろすことができません。
そのため、通線用の穴を開けます。
スイッチボックスは、強く叩くと穴が開く構造になっているので、プラスドライバーを目隠しの真ん中に添えた状態でドライバーの頭を拳で強く叩きます。

抜けた穴にVVFケーブルを通します。

洗面台の下に開けた穴からケーブルをキャッチします。

洗面台の下に電気を送るため、ケーブルを加工します。

コンセントの送り端子にケーブルを接続します。

洗面台下の方も、コンセントを取り付けるため同じように加工します。

コンセントを取り付けます。
とりあえず開けた穴をパテで埋めて害虫が入らないようにすれば、ひとまず完成です。

あと一歩だけ頑張ってコンセントを壁にきちんと埋め込みたいけど、「あと一歩だけ」を何度も繰り返して、ちょっと疲れてきたのでここで終わらせます。
こういうやり方の施工でも問題はありません。
ちゃんとしたデベロッパーから買った住宅や、ハウスメーカーの住宅でも、レンジフードの裏側などで換気扇につなぐコンセントはこのような感じ(転がし配線)でやっていることが多いです。
埋め込みコンセントでしっかり取り付けてしまうと、買い替えたレンジフードによっては干渉する恐れがあるためです。
5年以内には埋め込まれていると思います。
これ以外にも隙間時間でやろうと割り切った工事はいくつかあって、余力でやればいいと判断しています。

次にトイレです。
実はこれまでも冷たい水で手を洗うシーンなど、トイレの写真もある程度使いたかったのですが、それができない理由がありました。
それは、使いっぱなしの状態で非常に汚かったからです。
賃貸アパートなどだと、必ず業者クリーニングが入るし、オフィスも同じです。
この物件は、「スケルトンで現況有姿」が条件で安く貸していただいています。
その代わり賃料が安く抑えられるのと、何より造作が自由にできるメリットがあります。
例えば、ピカピカの綺麗なオフィスで原状回復義務があったら、周縁を削って天井と壁に穴を開けて電線や光ケーブルを天井裏に回して・・・みたいなことはできません。
私自らの選択によるものです。

便器は使いっぱなし、便器の裏は埃と水分でギトギトになった謎の塊があったりで、締め切ると酸っぱい匂いもします。
長手袋をつけてゴーグル、マスクという完全武装で月1回x3ヶ月に分けてなんとか写真に写せる程度にしました。

床は汚れているような色をしていますが、そういうデザインです。
舐めろと言われたら、今なら舐めれます。
壁は、雑に壁紙を剥がした時に生じた剥がし残しで、何かが飛び散った跡ではありません。
換気扇をつけずに事務所をあけて、2日後に入った時でさえ変な匂いは少しもしませんでした。

便座がないのは・・・

最後に使ったのがいつなのかわからない、汚い場所にあった温水洗浄便座など使う気になれないから取り外したためです。
捨てに行く時、車の中で中に残った水が漏れた・・なんて考えたくもないので、7重にしたゴミ袋に入れました。

そして、新しいウォシュレットです。

様々な機種を見てきた中でやはりTOTOがイチバン完成度が高い気がしています。
それから、TOTOからTOTOの機種変更は、コンセント式の水栓プラグで簡単にできるため、TOTO一択です。
・・・と思いきや

コンセント水栓ではなく普通の13mm管・・・。
今日、少し予定が詰まっているので予めコンセント水栓ではないことがわかっていれば日を改めたのですが、付け替えのために事務所を散らかしてしまっているので、引き返したくない。
渋々、自動車にモンキーレンチ(工具)を取りに行く。

なんとか、取り付け完了です。

便器もTOTOなので、便器の色との差が殆どないのもTOTOウォシュレットの魅力です。
温水洗浄便座は、リモコン式をお勧めします。
本体に操作パネルがなければ、掃除などの手入れが楽なためです。

ボード剥き出しのみにくい壁とのギャップがすごいですが、リモコンを壁につけて取り付け完了です。

直視できないほど汚かったトイレでしたが、苦労の末、なんとかギリギリ人に貸せる状態になりました。
「ギリギリ」と書いたのは、俗に言われるところの「サボったリング」と呼ばれる輪ジミがあるからです。
これは後日、ダスキンの方に除去してもらおうと思います。

サボったリングは、一般人がきれいに落とすのは不可能です。
コンシューマ向けの薬剤は、これが落とせるほど強力なものは危険なので販売できないことと、削って落とそうとすれば陶器を傷つけるか、最悪のケースでは割ってしまうことがあります。
ダスキンは、これを落とすための特殊な薬剤を持っています。
とはいえ、それでも容易に落とせるものではなく、かなり長い時間、磨き続けてもらうことになります。
南房総の別荘を中古で買った時も似たような状況でしたが、ダスキンに依頼すると30分5000円で磨いてくれます。
30分擦り続ければかなり状況は良くなりますが、指で擦ると微かな段差を感じることができます。
料金的にもキリがいい1万円で1時間磨いてもらうのが良いと思います。
こうして便槽を綺麗にすれば、胸を張って貸すことができます。
壁紙がなくて内装はボロボロですが、頑張って掃除したので無臭で、衛生陶器(便器・タンク一式)、ウォシュレットともにピカピカなら、「ちょっと内装がボロボロで申し訳ないんだけど、衛生面はかなり気を使っているので安心して使ってください。」と言って貸すことができます。
もちろん、「申し訳ないんだけど」を2、3回もいう程度に繁盛すればちゃんと壁紙を貼るのは言うまでもありません。

トイレの壁紙もそうですが、他のお仕事ややることの優先順位を考慮して、敢えてやり残しているところがあちこちにあります。
隙間時間で少しずつやっていこうかな、と思っているので、繁盛しなくても来年の今頃は綺麗になっているかもしれません。

給湯室を除いて、事務室内部の壁全体が新品の中で、トイレのドアが当初のままというのが若干気になっています。
木目のクロスを貼るというのも芸がないし、壁と同色のクロスはそれ以上に芸がない。
アクセントクロスがグレーでなくブラウンであれば、茶系にできるのだが・・・どうもデザインが決まらない。

それ以前に、この面の壁はなんとなく雑然とした感じになっているのが気になっているのです。
この面の壁は左から白・雑然・白という3つの要素が入り組んでいることが原因でしょう。
事務ブースにカーテンを付けて接客時は隠せるようにすればいいのだろうけど、これも芸がない。
そこで、トイレの一角のクロスを黒にかえるという結論に至りました。

そうして壁を黒にしたからこそ活きてくる扉のデザインはこちらです。

  
樹脂シート屋さんに作ってもらおうと思っていますが、ドアの表面がデコボコしててシートの付着性が悪そうなので、プライマーで平滑にしなければなりません。
そのため、全てが落ち着いたらやろうと思います。