肺全体が固くなっているので十分に膨らんだり縮んだりできず空気が取り込めない。

「ただ息をしているというだけで空気が入ってくる手応えのようなものがないんだよなあ」

 

 鼻呼吸だけでは足りず口呼吸をするので口が渇き、夜中などには口の粘膜がべったりと貼りつく。

「うわっ、はがれないぞ」

 

 肺胞が線維化しているのでガス交換が思うようにできない。

「一所懸命息を吸ってるのに、ぜんぜん楽にならないなあ」

 

 ちょっとばかり身体を動かしただけなのに、ひどい息切れに見舞われ自分でも大げさに感じるほど激しい呼吸になる。

「何をするのもイチイチしんどいな」

 

 心臓は破裂しそうなほどの勢いで鼓動し、血液を循環させようとする。

「まるで何キロも走った後みたいにバテバテだ」

 

 血液は酸素を受け取ることが出来ないまま、肺を素通りしてしまう。

「おいおい勘弁してくれよ」

 

 血液は高速で全身を巡るが血中酸素濃度は下がっているので、組織の末端に酸素が行き渡らない。

「もうだめ、身体が動かないし、これ以上息を吸えないよ」

 

 上葉が縮んで気管、横隔膜が上に引っ張り上げられている。

「腹の辺りはぺしゃんこだな」

 

 食道も一緒に引き上げられ開きっぱなしなので蠕動しにくくなっている。

「水を飲んでも身体を横たえると逆流してくるなあ」

 

 もともと胃下垂なのに食道が引き上げられているので、上下の綱引きみたいになってる。

「寝っ転がると楽になるけど、立っていると胃の辺りが苦しいよ」

 

 とりあえずその他の内臓は沈黙している。

「みんな、なんとか頑張ってくれよ」

 

 おっと、頑張れっていうのはメンタルヘルスの世界では禁句だったな。それぞれ自分なりに頑張っているんだからな。そうだな、頑張ってくれてありがとう、でも無理するなよ、っていうところかな。