朝、何もない東京の町はずれの一角を歩くのが日課になっている。

 家を出ると、まず周辺住民のごみ置き場になっている隣家(空家)の前を南へ向かう。ここは地元の有志がきちんと管理してくれている。また吸殻等の小さなごみを拾って歩くおばあちゃんもいる。従って通りはきれい。両者に心の中で感謝しつつ、その先の珈琲店の角を西へ曲がる。

 

 隣のガソリンスタンド跡地に建つ中層マンションの角から国道に出て北へ向かう。石屋の跡地に建つもう一つの中層マンションの角を東へ曲がり家の方に戻る。最近のマンションには一定の緑地と歩道が確保されているので、わずかではあるが遊歩道気分を味わう。一方でかつてのガソリンスタンドの店員のオーライオーライというかけ声、石屋の砂利の山から顔を出す細い柿の木等を懐かしく思い出す。

 

 約300mのコースを一周して時計を見ると約5分。パルスオキシメーターの血中酸素濃度は順調なら90~95%程度、脈拍は95~115程度だが、前者は85%を下回ってピーピー警告音が鳴り出すこともある。指先が冷えていたりすると十分に感知できないのか70%台に低下することもあり歩行中の正確な測定は難しい。それでも数値に応じて速度を調整しつつ、電柱の足元の雑草、歩道にはみ出た低木の葉をよけ、二周、三周とリズムに乗って歩く。

 

 ところでこの散歩は昨年の6月に、それまで続けていた犬の散歩(ミニチュアダックスフント2匹)がしんどくなり止めたことからその代替として始めたもの。当初は足の赴くまま適当に歩いていたが夏の日差しから逃れるため、国道沿いにあったイタリアンレストランの跡地(やはり今は中層マンション)から駅の裏に抜ける約1300m、20分、2200歩のコースに固定していた。

 

 そのまま約一年間、同じコース、同じペースで歩いていたが、ややしんどく感じるようになり、今年の6月、その日の体調に応じて距離を増減できるよう今のコースに変更した。

 

 三周15分、約1500歩歩き、戻ったところで少しでも余裕があれば、体調はまあいいと考える。2階の玄関を入り3階の自分の部屋に上がる。階段が堪えるのでベッドに横たわり、まるで激しい運動をした後のように弾んだ息を整える。血中酸素濃度は数秒間80%台に下がりやがて95%以上に戻る。

 

 六分間歩行に置きかえると360m程度と速度はかなり遅い。人並みに450mくらいは歩きたいところだが、これ以上歩を早めると血中酸素濃度はもっと下がってしまうし、身体もついてこない。それでも寝たきり防止対策にはなるだろうとは思う。もっともそれ以前に、犬と一緒で一日に一度くらいは外に出たいという気持ちもある。何はともあれ、散歩ができるだけでも幸せなのだろう。