ゴキゲン銀対抗の旧手法 | Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※前回までのあらすじ『楽しい中飛車きょうしつ』


王将戦第七局は、いやに見覚えのある戦型となった。

「ゴキゲン中飛車の急所」(慈明本)や、
「菅井ノート後手編」でもチラッと紹介されていた…
銀対抗における67歩型の居飛車穴熊である。

(※今回は、過去の資料をまとめ直すに留めておく)



…68金寄

66歩~67金と手堅く組む通常の定跡形は、
相穴熊にされると(個人的には)非常に動きにくく感じられるのでほとんど採用したことがない。

一方この67歩型では後手から常に56歩の仕掛けがあるものの…組み上げてしまえば非常に戦いやすくなる。

早めに68金右を決めるのはどちらかと言えば旧式で、
当ブログでもちょうど二年前に取り上げていた。

cf.『ゴキゲン銀対抗』『ゴキゲン銀対抗 #2』



72銀 88玉 56歩 同歩 同飛 24歩
同角 22歩


では56歩に対して具体的にどう反撃するかというと…
貰った一歩を使って24歩~22歩の基本手筋がある。

手順に33桂~45桂と跳ばれるので怖いようだが、
先手も21歩成~11ト~59香と味よく対抗できるので何とか凌げそうだ(多分)。


※後述する筋に備えて58金型のまま頑張る新手法を、
確か康光先生が一年ぐらい前に開発していた。
だが、上図のように中央から普通に攻め込まれた場合はやはり68金寄の有無が大きいような気もする。。



94歩 88玉 95歩 58飛

…ただし端を突き越されると事情が変わってくる。

この形で五筋交換から76飛と廻られてみると…
あと一歩で96歩~97歩~95歩~96歩という一撃必殺が発生してしまうため先手はもう歩を渡せず、
そのまま身動きが取れなくなってしまうのだ!

従って58飛の先受けは(見るからに不自然な形ながら)仕方ないところ。
以前にも述べた通りこれは村田智弘先生の新手で…
この局面の形勢が判定できないまま私は今に至った。


プロの実戦例が少なく主流にはならなかったものの、
今でも普通に通用する作戦ではないかと思われる。
(もちろん自力で掘り下げた分の愛着や贔屓目も含む)


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【きまつしけん:あいあなぐま】はぶりん先生



92香 88玉 91王 98香 82銀 99玉
71金 88銀 94歩 96歩 74歩 16歩
14歩 86角


…まあ渡辺王将の性格上そんな決戦に進む筈もなく、
無難に相穴熊となって早くも先手の主張が通った。
(こうなると判ればもう誰も66歩とは突くまい…)

続いて先手は角の使い方を決めるのだが、
右辺に輸送するのは59角の瞬間が不安でもあるし…本譜のように86角と覗くのが好判断と言えそうだ。

後手は51金も42角も封じられ、
早くも動きが難しくなりつつあるような。。
(ただし当然ながら形勢自体はきっとまだまだ難しい)



84歩 38飛 51角 35歩 85歩 77角
35歩 同銀 45銀 34銀 54銀 56歩


たまにゴキブリ原始中飛車ゴキゲン中飛車を指すと…
ノーマル振り飛車より約半歩ほど懐深く踏み込ませるあの不思議な間合いをどうにも自力では再現できず、いつも酷い目に遭う。

34銀と飛び込ませて54銀と引く本譜はいかにもゴキ中らしい受け方に見えたが、
平凡に56歩と突かれた上図は果たしてどうなのか?
(しかしこの手自体は婉曲な羽生らしくないような…)

あとは、両者の生き様を黙って見届けるだけである。



p.s.
 ………………どうしてこうなった!?!?


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